カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

摩周湖

投稿日:2009年12月29日

神秘の湖

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第3展望台から見る摩周湖


 足寄から国道241号で弟子屈に向かっていく。前方には阿寒富士と雌阿寒岳が見えてくる。抜けるような青空を背にした山頂周辺の新雪がまぶしい。足寄峠を越え、阿寒湖へ。湖畔に立ち、しばらくはきらめく湖を眺めた。
 阿寒湖から弟子屈までは絶好のツーリングコース。雄阿寒岳を間近に眺め、双湖台の展望台からはパンケトウ、ペンケトウの秘湖を見下ろした。
 足寄から100キロの弟子屈に到着。天気の変りやすい弟子屈だが、まだ青空が広がっている。「それ、行け!」とばかりにスズキDR?Z400Sを走らせ、国道243号で北海道一の絶景峠の美幌峠へ。
 美幌峠に立ったときの感動といったらない。眼下には日本最大のカルデラ湖、屈斜路湖が広がっている。うっそうと樹木に覆われた中島が浮かび、右手には和琴半島が湖に突き出ている。左手には斜里岳がそびえ、正面には摩周岳が頭だけをのぞかせている。峠のクマザサは風に揺れ、カサカサ鳴っている。

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国道241号を行く
阿寒湖


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弟子屈に到着
美幌峠から屈斜路湖を見下ろす


無料の露天巡り

 美幌峠で折り返し、峠を下り、屈斜路湖畔でDRを停めた。
 そのあとは温泉めぐり。屈斜路湖畔には無料湯の露天風呂が点在している。まずは和琴温泉。和琴半島のつけ根に混浴の露天風呂がある。熱めの湯。「アチチチチ…」で我慢して湯につかった。第2湯目は古丹温泉。湖畔の湯船は2つに分かれているが、まる見えで混浴同然。ジャスト適温の湯につかりながら眺める屈斜路湖はすばらしい。白鳥が湯船のすぐそばまでやってくる。第3湯目は池ノ湯温泉。その名の通りの温泉。混浴の湯船は池のような広さ。若干、温めの湯で、藻が体にからみついてくる。
 屈斜路湖畔のこれら3湯の無料湯を楽しんだあと、砂湯、仁伏温泉、川湯温泉と通り、国道391号に出た。
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屈斜路湖畔で
和琴温泉


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古丹温泉
池ノ湯温泉


さー、北海道遺産の摩周湖だ。

 JR釧網本線の川湯温泉駅を過ぎたところで国道を左折。道道52号で摩周湖へ。

 摩周湖といえば「霧の摩周湖」で知られているが、屈斜路湖では晴れていても、摩周湖は曇りだったり、霧ですっぽり包まれていることがよくある。いままでに何度か摩周湖には来ているが、湖を見られたのは2、3割程度の確率でしかない。
 この日も美幌峠では快晴だったが、摩周湖の第3展望台に立ったときはかなり雲が出始めていた。それでもカムイヌプリ(神の山)の摩周岳ははっきりと見えていた。
 摩周湖といえば世界有数の透明度を誇る湖で、最大水深は212メートル。1931年の測定では透明度は41.6メートルで世界一だった。それが現在では20メートル前後。ちなみに世界一はバイカル湖で透明度は最大40メートル。
 摩周湖は屈斜路湖同様、カルデラ湖で、そそり立つカルデラ壁の高さは300メートルにも達する。
 東岸には中央火口丘の摩周岳(857m)がそびえている。この山はまさに神の山。登ったまま帰らぬ人が何人もいるという。摩周湖には流れ込む川はないし、流れ出る川もない。そんな神秘感の漂う湖を見下ろしていると、スーッと吸い込まれそうになる。

30代編日本一周

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1978年の「30代編日本一周」では裏摩周の湖畔に下った


 摩周湖で一番心に残っているのは、何といっても「30代編日本一周」(1978年)で行ったときのことだ。
 第1展望台、第3展望台に立ったが、湖どころか、ほんの数メートル先も見えないような濃霧だった。
「何としても摩周湖を見るんだ!」
 と、国道391号で野上峠を越え、峠を下った札弦から道道115号で清里峠へ。当時の峠道は全線、ダート。そこから裏摩周に行った。
 裏摩周の展望台も霧ですっぽりと覆われていたが、バイクを停めて急崖の山道を歩き、湖畔まで下ると霧は晴れた。幅の狭い砂浜があり、そこですっ裸になり、湖に飛び込んだ。9月上旬のことだったが、湖の冷たさといったらなかった。
 あの時のキリリッとした摩周湖の冷たさは今でもぼくの肌に残っている

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