カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

江別のれんが

投稿日:2010年11月14日

日本一の煉瓦生産地

 江別温泉「富士屋旅館」の朝湯に入り、朝食を食べ、さー出発だ。

江別温泉「富士屋旅館」の朝湯に入る
「富士屋旅館」の朝食


江別駅前を出発!
江別の町外れを流れる石狩川


 江別温泉はJR函館本線江別駅の駅前温泉。駅前でスズキDR-Z400Sを停め、ここを出発点にして北海道遺産の「江別のれんが」を見てまわる。
 江別は北海道で唯一の煉瓦の生産地であるのと同時に、日本一の煉瓦生産量を誇る煉瓦の町でもある。日本一の煉瓦工場もこの町にある。
 江別での煉瓦の生産は明治中期に始まったとされ、日本の代表的な煉瓦造りの建物、北海道庁旧本庁舎の煉瓦も江別産だという。「江別のれんが」は北海道の近代化に大きく貢献した。

 江別駅前からまずは町外れを流れる石狩川を見にいく。
 江別川(千歳川)を合わせた石狩川は大河の風格満点で、広い川幅いっぱいに滔々と流れている。
 石狩川の源流から河口までの間で、このあたりが一番大河を感じさせてくれる。
 江別が「れんがの町」になったのは、この石狩川の水運によるところがきわめて大きい。それと泥炭地でとれる煉瓦づくりに適した粘土が豊富にあったこと、大消費地の札幌がすぐそばにひかえていることなどが理由としてあげられる。
 石狩川の河畔から江別駅に戻ると、次に郊外の「陶芸の里」にある「セラミックアートセンター」へ。さすが「れんがの町」だけあって、ここには「れんが資料展示室」がある。展示されている江別での煉瓦生産の歴史が興味深い。

陶芸の里の「セラミックアートセンター」


「陶芸の里」から野幌(のっぽろ)へ。野幌駅があり、国道12号沿いには野幌の町並みがつづいている。「江別のれんが」の中心が、この野幌になる。「江別のれんが」の原料となる粘土は「野幌粘土」と呼ばれている。この町の銘菓は「煉瓦もち」。煉瓦一色の野幌だ。
 野幌周辺には400軒以上もの煉瓦造りの建物があるとのことだが、その中でも人気が高い「ガラス工芸館」を見学。この建物は「江別のれんが」のシンボル的な存在。ここは「300日3000湯」の温泉めぐりのときに、我が「北海道遺産の師」カブタンに案内された場所。あのときのシーンが目に浮かび、たまらない気分になる。
 野幌は明治11年、岩手県人がこの地に屯田兵として入植し、それが町のはじまりだという。
「ガラス工芸館」のすぐ近くには野幌の「開村記念碑」が建っている。石碑には明治18年に鳥取県から34戸、鹿児島県から30戸、石川県から39戸…と、この地への移住の記録が彫り刻まれている。

野幌の「ガラス工芸館」
野幌の「開村記念碑」


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