第78回 中山道2
投稿日:2011年3月28日
2010年 林道日本一周・西日本編
信濃川と木曽川がすれちがう分水嶺「鳥居峠」
贄川宿からは中山道のハイライトといってもいい「木曽11宿」をめぐっていく。
奈良井川沿いの国道19号をスズキDR-Z400Sで走り、次の奈良井宿へ。
旧道で奈良井の宿場に入る前に、国道19号の鳥居峠のトンネルまで行ってみる。
鳥居峠は中央分水嶺の峠。この峠を境にして川の流れが大きく変る。
中央アルプスの主峰、木曽駒ケ岳(2956m)を源とする奈良井川は松本で梓川と合流して犀川になり、長野で千曲川と合流、新潟県に入ると信濃川と名前を変え、新潟で日本海に流れ出る。
鳥居峠を越えて藪原宿に入ると、飯盛山(2446m)を源とする木曽川の流れになるが、木曽川はそのまま名前を変えることもなく愛知・三重県境で伊勢湾(太平洋)に流れ出る。このように鳥居峠は信濃川、木曽川という2本の大河を分けているのだ。
地図を見るとよくわかるのだが、標高1197メートルの鳥居峠を間に置いて奈良井川は南から北に流れ、木曽川は北から南に流れている。まるで2本の川はすれ違うかのようにして流れている。
信州は「峠の国」だ。日本海側と太平洋側、信州を二分する中央分水嶺の峠をいつも頭に入れておくと、よりおもしろく信州をまわれる。
上信越国境(長野・群馬・新潟県境)の白砂山(2140m)から上信国境(長野・群馬県境)、甲信国境(長野・山梨県境)と通り八ヶ岳へ、そこから信州を二分して横断し、信飛国境(長野・岐阜県境)の乗鞍岳(3026m)へと中央分水嶺は1本の線になって延びている。
中央分水嶺の北側は日本海に流れ出る千曲川の流域になる(一部地域は姫川)。千曲川沿いには佐久盆地、上田盆地、長野盆地、飯山盆地と盆地が鎖状につづいている。松本盆地は千曲川最大の支流、犀川沿いの盆地。中央分水嶺の南側は太平洋に流れ出る釜無川(富士川)、天竜川、木曽川の世界になる。
信州を大きく分けると、「東信」、「北信」、「中信」、「南信」の4地域になるが、「南信」のみが中央分水嶺の南側で、佐久、小諸、上田を中心とする「東信」、長野を中心とする「北信」、松本を中心とする「中信」は中央分水嶺の北側になる。このことからもわかるように、信州というのは中央分水嶺の北側により比重がかかっている。
興味深いのは「中信」だ。
本来ならば「西信」になるはずなのだが、松本こそ信濃の中心という意識が強いからなのだろう、「西信」といわずに「中信」といっている。
さて、鳥居峠だ。
鳥居峠を貫く鳥居トンネルを走り抜け、いったん藪原宿側に入ったところでUターンし、もう一度、鳥居トンネルを走り抜け、旧道で奈良井宿へ。JR中央本線の奈良井駅前にバイクを停め、中山道の面影が色濃く残る奈良井宿を歩いた。中二階の家並みが旧街道沿いに軒を連ねる。
奈良井駅に戻ると、駅前の小道を登り、鳥居峠の旧道に入っていく。1キロほど登るとダートに突入。杉と檜の植林地を行く。4・6キロ走ったところで鳥居峠に到達。峠には御岳の遥拝所がある。ここから奈良井宿に下っていく石畳の道もある。
鳥居峠から3・2キロ下ったところで舗装路になる。鳥居峠旧道のダートは7・8キロ。峠を下りきったところが藪原宿。
藪原宿といえばお六櫛の名産地。今でも街道沿いにはお六櫛の店が何軒かある。藪原駅に近い一里塚跡は小公園になっていて、蒸気機関車の「デコイチ」が展示されている。
藪原宿は飛騨街道との追分。ここから飛騨街道を行けば、境峠を越え、野麦峠を越えて飛騨・高山に通じている。
藪原宿を出ると木曽川にぶつかるが、その流れはすでに大河の風格十分だ。
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今回のエリア:昭文社ツーリングマップル関東甲信越 44B-6あたり