カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

5月12日(1)蒲庭温泉→中村(相馬市)

投稿日:2011年6月14日

頑張ってるぞ!東北!! ツーリング[鵜ノ子岬→尻屋崎 11]2011年5月12日

 蒲庭温泉の夜明け。目をさますと薄日が差していた。だがこれは一瞬で、すぐに雲ってしまった。それでも雨が止んでくれただけありがたい。
 6時30分、朝食。昨夜の夕食につづいての部屋食。おかみさんが朝餉の膳を部屋に持ってきてくれた。焼き魚つきだ。
 7時出発。支払いを済ませて出ようとすると、おかみさんは「これで何か飲んでいきなさい」といって120円をくれるのだ。じつは昨夜、ぼくの部屋にはお湯の入ったポットがなかった。その分なのだという。
 ありがたくおかみさんの好意を受けることにし、館内の自販機でカンコーヒーを買い、モーニングコーヒーを飲んだ。胸にしみる味だ。

蒲庭温泉「蒲庭館」の朝食
蒲庭温泉「蒲庭館」を出発


 おかみさんの見送りを受けて出発。県道74号を北へ。あたりは一面の荒野。目を覆うばかりの荒野がつづく。緑豊かな田畑や何戸もの家々のあった一帯はすべて大津波で流されてしまった…。
 ちょっとした高台に登る。そこは磯部。小学校があり、何軒もの家々は無事に残っている。わずかな高さで大津波の被害からまのがれた。
 磯部を下ると、芹谷地。「谷地」というのは湿地を意味する。平地なだけに大津波の被害は甚大だ。きれいさっぱりと何も残っていない。水田跡には流された車が何台もころがっている。車が流されている光景は、今回の大津波を象徴している。
 芹谷地から松川浦へとつづく砂洲上の道に入ろうとしたが通行止。何と長い砂洲は大津波によって途切れてしまったという。地形が変わってしまったのだ。その先端には鵜の尾岬があり、そこからは松川浦大橋で対岸に渡れるようになっていたが、今は松川浦大橋も通行止だ。
 松川浦に行くのを断念し、相馬の中心、中村に向かっていった。

大津波で消え去った集落の跡
水田に放置された車。車中で亡くなった人がたくさんいる


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