カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第123回 川俣檜枝岐林道

投稿日:2011年9月30日

2010年 林道日本一周・東日本編

痛恨の転倒、ガス欠の恐怖と戦いながらR4へ

 旧伊南村(現南会津町)の中心、伊南からスズキDR-Z400Sを走らせ、伊南川沿いに南下。小豆温泉を過ぎたところで平沢林道に入っていく。森林地帯を登っていく林道だ。ダート6・7キロの平沢林道を走り抜けると大規模林道に出る。2車線の舗装林道。小繋峠のトンネルを抜け、檜枝岐に下っていく。
 檜枝岐では尾瀬檜枝岐温泉の共同浴場「駒の湯」(入浴料500円)に入り、「ミニ尾瀬公園」(入園料500円)を歩いた。そして川俣檜枝岐林道に入っていく。
 国道352号から3・6キロでダートに突入。福島県側は良く整備された林道で走りやすい。帝釈山脈の馬坂峠を登っていく。
 福島県側のダート10・8キロを走り、福島・栃木県境の馬坂峠に到達。峠は一面の霧に覆われていた。
 馬坂峠は帝釈山脈の主峰、帝釈山(2059m)の登山口。峠上には駐車スペースもあるし、峠から帝釈山の山頂まではわずか0・9キロでしかないので、ここはちょっとした人気のスポットになっている。
 馬坂峠から栃木県側を下っていく。路面の状況はかなりラフになり、石ころがゴロゴロしている。勾配もかなり急。馬坂林道(舗装)との分岐まで下ると、そこからは川俣湖沿いのダートを行き、川俣大橋の脇に出た。栃木県側のダートは26・7キロ。川俣檜枝岐林道のダートは合計すると37・5キロになる。日本でも有数のロングダートだ。
 鬼怒川沿いの県道23号を走り、栗山温泉「四季の湯」で左折し、土呂部峠に向かっていく。そこで湯西川温泉へと下っていく県道249号と分れ、さらに登り、最後の林道の田代山林道へ。馬坂林道(舗装)との分岐点から田代山林道のダートに入っていく。田代山林道の栃木県側は急速に整備され、短い舗装区間もある。
 栃木県側のダート8・9キロを走り、田代山峠に到達。さきほどの馬坂峠同様、ここは帝釈山脈を越える栃木・福島県境の峠。絶景峠で夕暮れの帝釈山脈の山々、さらには那須連峰の山々を一望した。
 福島県側に入り、田代山林道を下っていく。路面の状態は良く、走りやすい。
 あともう少しで舗装路に出るというところで痛恨の転倒。濡れた右カーブでリアをとられ、ザーッと滑った。こういうときのDRはきわめて強く、ほとんど無傷だったが、人間はそうはいかない右半身を強打し、右膝をかなり切った。
 クソーッ。
 ほんの一瞬、集中力を切らしたのが原因だ。
 痛む体を引きずって水引の集落の手前で舗装路に出た。福島県側のダートは13・9キロ。合計すると田代山林道のダートは22・8キロになる。
 旧舘岩村(現南会津町)の中心、松戸原に到着したのは19時30分。2軒あるガソリンスタンドはともに閉まっていた。
 さー、困った。
 ガス欠の恐怖におびえながら、栃木県の西那須野を目指すことにした。国道4号に出れば、間違いなく給油できるだろう。
 国道352号→国道121号→国道400号で尾頭峠を越え、塩原温泉郷に下っていく。ついにガス欠の恐怖に耐えられず、塩原温泉郷の何軒かの温泉宿で、
「すいません、今晩、泊めてもらえないでしょうか…」
 と頼んだが、10余軒の温泉宿で断られた。
 それはそうだろう、夜の10時近くになって「泊めてください」といわれても…。
 腹をくくって西那須野へ。その手前でついにガス欠。DRを倒し、デッドスペースのガソリンをキャブに流し込み、からくも西那須野まで走れた。
 国道4号沿いの23時まで営業しているJOMOで給油したときは、
「やったね!」
 とカソリ、全身を貫く傷の痛みも忘れ、思わずガッツポーズだ。
 西那須野ICで東北道に入り、首都高経由で東京・日本橋に到着したのは翌日の午前1時。
 神奈川県伊勢原市の自宅に到着したのは午前2時30分。まずは傷口をきれいに洗い、傷の手当をしてから眠りについた。
 これで「林道日本一周」の「東京→稚内編」、「稚内→東京編」、終了!
 今度はDR-Z400Sからビッグボーイに乗り変えて、「東北一周編」の開始だ。

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今回のエリア:昭文社ツーリングマップル北海道 7,2,3

伊南→檜枝岐→馬坂峠→川俣→土呂部峠→湯西川→田代山峠→松戸原→塩原温泉郷→西那須野

平沢林道のダートに突入!
平沢林道を走り大規模林道(舗装)に出る


尾瀬檜枝岐温泉の共同浴場「駒の湯」に入る
檜枝岐の「ミニ尾瀬公園」を歩く


檜枝岐の「ミニ尾瀬公園」の風景
川俣檜枝岐林道のダートに突入!


福島・栃木県境の馬坂峠に到達
田代山林道の栃木県側を行く


夕暮れの田代山峠に到達
田代山林道を走りきり舗装路に出る




真夜中の日本橋に到着!

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