カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第131回 垂水林道

投稿日:2011年10月14日

2010年 林道日本一周・東北編

三陸大津波で最大波高を記録した綾里から垂水崎へ

 陸前高田の夜明け。民宿「吉田」の周辺をぷらぷら歩く。広田湾の堤防に登り、対岸の宮城県側を眺める。波静かな広田湾は眼に残る風景だ。
 民宿「吉田」の朝食を食べ、7時30分、出発。国道45号で通岡峠を越えて大船渡市に入る。峠を下っていくと奥深くまで切れ込んだ大船渡湾が見えてくる。
 国道45号から海沿いの道に入り、活気あふれる大船渡漁港の魚市場を見る。そして大船渡の中心街に入っていく。JR大船渡線の大船渡駅周辺が町の中心。その次の盛駅が大船渡線の終点になっている。ここまでは一連の町つづき。盛駅前でビッグボーイを停めて小休止。盛駅は三陸鉄道の起点駅にもなっている。
 盛の町並みを抜けたところで国道45号に合流。その先で県道9号に入っていく。太平洋セメントの工場前を通り、今度は大船渡湾の対岸から大船渡の町並みを眺めた。
 県道9号で綾里半島入口の綾里(りょうり)に向かっていく。
 綾里に到着。綾里漁港の岸壁でビッグボーイを停める。
 ここは昭和三陸大津波(1933年3月3日)では波高28・7メートルを記録。これが昭和三陸大津波の最大波高になっている。日本の歴史上、最大級の大津波といわれる明治三陸大津波(1896年6月15日)では38・2メートルを記録。これが明治三陸大津波の最大波高になっている。このように綾里は三陸大津波では特別の地だ。
 そんな綾里から垂水林道に入っていく。
 漁港から2キロほどでダートに突入。海のすぐ近くを走っているとは思えないような、うっそうとした森林地帯の中を走り抜けていく。4・0キロのダートを走ると舗装路になる。そこには気象庁の気象ロケット観測所。1キロ超(1・2キロ)の舗装路を走るとふたたびダートに突入。4・5キロ走ったところで綾里半島東端の岬、綾里崎を見下ろす展望ポイントに出る。そこを過ぎるとひたすら深い森の中を行く。けっこうラフな路面。倒木やガレ場もある。海岸のすぐ近くを通っているのだが、海はほとんど見えない。こうして10・0キロのダートを突破。合計すると14・0キロの垂水林道だ。
 三陸鉄道の綾里駅近くに出ると、県道9号で越喜来(おっきらい)へ。そこで国道45号に合流し釜石へ。
 釜石では「鉄の歴史館」を見学。幕末に作られた橋野三番高炉の巨大な模型が目を引く。「鉄の町」釜石の歴史がよくわかる「鉄の歴史館」だ。つづいて釜石湾に向かって立つ高さ48メートルの釜石大観音の展望台に登った。そこからは目の前に広がる釜石湾を見下ろした。湾口に延びる世界最大級の釜石湾口防波堤がはっきり見えた。

※今回の東日本大震災の影響で大船渡は大きな被害を受け、JR大船渡線も三陸鉄道南リアス線も不通のままで復旧のめどは立っていません。綾里半島の綾里では今回の平成三陸大津波では30・1メートルの波高を記録。平成三陸大津波での最大波高は岩手県宮古市の重茂半島姉吉で記録した38・9メートルでした。世界最大級を誇った釜石の湾口防波堤は今回の大津波でズタズタに破壊されてしまいました。


より大きな地図で 林道日本一周東北編 を表示
今回のエリア:昭文社ツーリングマップル東北 53,58,59

陸前高田→大船渡→綾里→釜石

陸前高田の民宿「吉田」近くの堤防上から見る広田湾
県道38号の道標


民宿「吉田」の朝食
「吉田」を出発


JR大船渡線の終点、盛駅
盛駅の駅前通り


大船渡湾の対岸から大船渡を一望する
綾里半島の綾里漁港


カモメが群れる綾里漁港
垂水林道のダートに突入!


綾里半島東端の綾里崎を見下ろす展望ポイント
綾里半島北側の垂水林道を行く


釜石の「鉄の歴史館」
釜石大観音


Comments

Comments are closed.