環日本海ツーリング[87]
投稿日:2012年6月8日
日本人に似た少数民族の村を訪ねる
ハバロフスクに通じる幹線を右折し、マルウィシェーボの町に通じる道に入っていく。
舗装路沿いには森林がつづく。数キロ走ったところで右折し、アムール川に出たところがシカチェイリアン村。ここに少数民族のナナイ族が住んでいる。
ナナイ族の若者や子供たちを見ると、あまりにも日本人に似ているので驚かされてしまう。「こんにちは」と日本語で話しかけたくなるほどだ。
ちょうどキリスト教のボランティアたちが来ていてお祭り騒ぎ。子供たちはバイクに乗ってやってきた我々の前でナナイ族の歌を聞かせてくれた。
シカチェイリアン村にあるナナイ族の資料館を見学。壁一面に描かれた絵には、アムール川の漁労民が舟に乗り、槍で大魚を突き刺している様子が描かれている。魚肉を焚き火で焼いている様子も描かれている。
ナナイ族はアムール川とともに生きてきた漁労民だ。
2004年の「旧満州走破行」では中国最東端の地まで行ったが、そこで出会った少数民族のホジェン族もナナイ族と同一の民族。やはり黒龍江の漁労民だ。
普段はサケやマスなどを獲っているが、彼らはチョーザメの仲間の皇帝魚をも獲る。最大級の皇帝魚になると長さ8〜10メートル、重さは何と2トン近くに達するという。乱獲がたたって今では超大物の皇帝魚は激減したとのことで500キロぐらいが大物になっているが、それでも重さ500キロの魚といったらすごいではないか。ホジェン族はそんな黒龍江の誇り高き漁労民だ。
ナナイ族の資料館に描かれている大魚も、この皇帝魚かもしれない。
ロシア領内に住むナナイ族、中国領内に住むホジェン族は名前こそ違うが、アムール川(黒龍江)沿いに住む同一の民族。ナナイ族の人口は約1万人、ホジェン族は約5000人。国境を越えた2つの民族にはものすごく心ひかれるものがある。
ナナイ族とホジェン族はほんの1例で、世界はこのように「国境線」という目に見えない線でもって、同一の民族をズタズタに切り裂いている。