カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[140]番外編

投稿日:2012年8月3日

韓国往復縦断2005(9)

李承晩と金日成、二人の別荘を訪ねる

 韓国最北の地、北緯38度35分12秒、東経128度22分30秒の高城統一展望台が「韓国往復縦断」の折り返し地点。ここから束草へと戻っていく。
 途中、日本海の海岸にある李承晩の別荘を見ていく。
 李承晩(1875年?1965年)といえば、かの悪名高き「李承晩ライン」で知られる韓国初代の大統領。この別荘は1953年以降、使われたものだという。

李承晩の別荘を見学


映画の舞台になった日本海の海岸
韓国婦人3人が記念撮影


 つづいて金日成の別荘に行く。別荘近くの日本海の海岸は映画の舞台になったところで、そこでは韓国人婦人3人がうれしそうに記念撮影をしていた。
 金日成(1912年?1994)といえば北朝鮮の独裁者。1948年から1994年までの長きにわたって北朝鮮を支配した。
 この別荘は1945年以降、使われたものだという。
 別荘内に展示されている朝鮮戦争(1950年?1953年)での北朝鮮の侵攻図には目を奪われる。それには「6・25」と赤字で大きく書かれているが、北朝鮮は1950年6月25日をもって韓国に侵攻。怒涛のごとく南進し、あっというまに釜山近くまで攻め込んだ。韓国政府はあわや済州島に逃げ込むかという寸前まで追い込まれた。北朝鮮の侵攻図にはそれが描かれいる。
 朝鮮戦争は1953年7月27日に停戦したが、それは終戦を意味するものではない。いまだに朝鮮半島に一触即発のきな臭さが漂うのは、朝鮮戦争が終っていないことが大きく影響している。
 別荘内では1枚の写真にも目を引かれた。この別荘に遊びに来ていた金正日の写真。晩年の醜さからは想像もできないようなかわいらしい少年の姿が目に残った。
 それにしても李承晩と金日成という、今日の韓国と北朝鮮に大きな影響を与えた2人の人物の別荘が、日本海の海岸のすぐ近くにあったというのは何とも興味を引かれる話ではないか。

金日成の別荘への道
厳しい現実!


金日成の部屋
金日成の別荘内の朝鮮戦争図


別荘にやってきた金正日(矢印)


別荘から見下ろす日本海
日本海の海岸には小学校


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