カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[159]

投稿日:2012年9月6日

ウラジオストクまで772km、能登半島の突端禄剛崎へ

 輪島を出発。日本海沿いの国道249号で奥能登を行く。奥能登の日本海に面した外浦は見所が多い。能登半島を3つに分けて口能登、中能登、奥能登と呼ばれているが、奥能登の東北端の岬が禄剛崎になる。
 日帰り入浴もできる寝豚温泉の前を通り、白米の千枚田を見下ろす「千枚田ポケットパーク」でスズキDR-Z400Sを停めた。この白米の千枚田は山の上から海岸まで段々になった2000枚以上の田がつづいており、目を奪われる光景だ。正確には2092枚あるという。
 どれもチマチマした田で、1枚の田は平均すると2坪(約6・6平方メートル)にも満たないが、米作りに執念を燃やし、懸命に生きてきた日本人の姿、歴史を白米の千枚田は見事に描き出している。
 断崖が日本海に落ちる曽々木海岸を歩き、揚浜塩田での塩作りを見た。そして国道249号から県道28号に入り、能登半島突端の禄剛崎へ。
 禄剛崎は新第三紀層の泥岩から成る海岸段丘で標高46メートル。切り立った岬先端の断崖上に立つと、目の前には日本海の大海原が広がっている。水平線上に佐渡が見える日もあるという。断崖下の千畳敷と呼ばれる岩礁地帯には荒波が打ちつけ、白い波が砕け散っていた。
 対岸のロシアのウラジオストクまでは772キロの標柱が立っている。
 禄剛崎は古くから日本海航路の重要な地点で、この辺りの地名が狼煙であることからもわかるように、海岸防備の拠点とされてきた。奈良時代にはすでに狼煙台が置かれていたという。
 岬の先端には明治16年に完成したフランス人の設計による灯台。その手前には「日本列島ここが中心」の碑。なるほど禄剛崎を中心にして円を描くと、日本本土最北端の宗谷岬と最南端の佐多岬が同心円上にくる。

奥能登の日本海
白米の千枚田


曽々木海岸の断崖
奥能登に残る揚浜塩田


能登半島突端の禄剛崎
禄剛崎の園地


禄剛崎から見渡す日本海
ウラジオストクまでは772キロ


禄剛崎の灯台
禄剛崎の「日本列島ここが中心」の碑


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