カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ニュージーランド南島ツーリング[2]

投稿日:2012年10月7日

中部国際空港の日の出

中部国際空港の日の出

思わぬ再会に「旅はドラマだ!」を実感

 2011年12月29日、「東横イン」の「おにぎり&サラダ」の朝食を食べ、「道祖神」の海野さんと一緒に中部国際空港へ。空港には「ニュージーランド南島ツーリング」の参加者の皆さんが次々にやってくる。北陸最大のバイクショップ「バイク市場きゃぷてん」の中村進社長と奥さんの雅美さん、お店のお客さんたちの一行も到着。総勢15名がセントレアに勢ぞろい。多士済々のメンバーだが、静岡県の藤枝市からやってきた西條美樹さんはホンダのXR250で全行程3万キロの「日本一周」を成しとげた人だ。
 何とここでは、北海道留萌のビジネスホテル「R-inn」オーナーの村田竜志さん夫妻とバッタリ出会った。お2人はこれからモルジブに行くという。
 2008年のスズキの125ccスクター、アドレスVを走らせての「日本一周」では「R-inn」に泊まった。そのときは厳冬のオホーツク沿岸のアイスバーンで転倒し、胸を強打し、息をするのも辛い状態での留萌到着。胸を押さえながら村田さん夫妻と話したことがなつかしく思い出される。1999年の「日本一周」のときにも「R-inn」に泊まった。
 ぼくは1987年から88年にかけてスズキの200ccバイク、SX200を走らせ、「サハラ砂漠往復縦断」を成しとげた。
 フランスのパリを出発点にしてアフリカ大陸に渡り、最初はアルジェリアのアドラルからマリのガオに抜けるルートでサハラ砂漠を縦断し、次にニジェールのアガデスからアルジェリアのタマンラセットに抜けるルートで再度、サハラ砂漠を縦断して「サハラ往復縦断」を成しとげたのだ。
 この旅の途中、ニジェールの首都ニアメーでは、サハラ縦断の旅人たちの溜まり場になっているキャンプ場に泊まった。そこで村田竜志さんと大内須美子さんのカップルに出会った。2人はすごいのだが、ヤマハのテネレ600のタンデムでサハラ砂漠を越えてニアメーまでやってきた。日本人ライダーでタンデムでサハラを越えたという話は村田さん、大内さんをおいて、ほかには聞いたことがない。
「サハラ縦断」といったら、どんなに減らしても、かなりの大荷物になってしまう。村田さんはそんな重装備のバイクに大内さんを乗せてサハラを越えた。砂深いところでは何度もスタックしたとのことで、2人で懸命にバイクを押して砂の海を脱出した。それだけにはとどまらず、サハラを越えた南の世界に入るなり、2人はマラリアにやられてしまったのだ。高熱と猛烈な下痢で、七転八倒の苦しみを味わった。このような大変な思いをしてタンデムでサハラを越えたのに、村田さん、大内さんはすごく明るい顔でその大変さを話してくれた。
 ニアメーでの夕食は村田さん、大内さんと一緒に町に出、ヤムイモのフーフーを食べた。ゆでたヤムイモを臼で搗いて餅にしたものに汁をかけたもの。ぼくはアフリカ人と同じように手づかみで食べると、村田さん、大内さんは驚いたような顔で、「よく手づかみで食べられますね」といった。
 キャンプ場に戻ると、生ぬるいビールを飲みながら、夢中になって村田さん、大内さんとサハラの話をした。久しぶりに使う日本語だったのでうれしかったのだ。
 話題はサハラにはとどまらなかった。留萌生まれの村田さんは、50ccのラッタッタで「北海道一周」したことや流氷を割って氷の海の中に3分間もつかった話などもしてくれた。村田さんは「流氷の上を歩いてロシアまで行ってみたいのですよ!」と真顔でいていた。
 ぼくは2人に会った翌日、ニアメーを出発したが、そのとき村田さん、大内さんとは何度も握手を交わし、「日本に帰ったら、ぜひとも会いましょう、サハラを肴にして飲みましょう!」と約束して別れたのだった。
 村田さんはその後、サハラにはすっかり魅せられ、「パリ・ダカール・ラリー」など砂漠を舞台にしたレースに何度となく参戦している。きっと大内さんの応援もあったのだろう。
 そんな村田さん、大内さんのお2人にこうして中部国際空港で再会した。
 旅はドラマだ!
 我々、「ニュージーランド南島ツーリング」の一行は10時30分発のSQ(シンガポール航空)671便でシンガポールへ。機内で飲む「タイガー」のカンビールでシンガポールを味わった。
 シンガポールのチャンギ空港到着は16時45分。日本とは1時間の時差。日本時間では17時45分になる。世界でも最大級のチャンギ空港のターミナルビル内を歩き、レストランで軽食を食べた。ここでニュージーランド南島のクライストチャーチ行きの便に乗り換えるのだ。

「東横イン」の朝食
中部国際空港の日の出


シンガポール航空の機内食
シンガポールのチャンギ空港に到着


チャンギ空港を歩く
チャンギ空港のレストランで軽食


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