アドレス日本巡礼[251]
投稿日:2015年4月3日
震災前の神戸港
メリケン波止場から神戸港のシンボルのポートタワーへ。
神戸港は1995年1月17日の「阪神淡路大震災」で壊滅的な被害を受けたが、それ以前に、このポートタワーの下から出る観光船で神戸港を一周したことがある。
そのときの様子をお伝えしよう。
「中突」の向こうに神戸が見える。再度山、麻耶山、そして六甲山へとつづく山並みを背にして、神戸の細長い帯のような町並みが東西に延びている。一番左の和田岬から三菱重工のドック、兵突、川崎重工のドックとつづき、その後には元町や三ノ宮が繁華街になる以前の神戸の繁華街、新開地の町並みが見える。その背後が鵯越になる。
目を右に移していくと、ビーナスブリッジが小さく見え、その向こうには山頂に錨の形に木を植えた錨山、そのすぐ隣には神戸市のマークをつけた市章山が見える。この2つの山の下あたりが花隈のあたりだ。その右手には兵庫県庁がある。ポートタワーの背後に広がるのは神戸の中心の元町や三ノ宮の町並み。中突の隣がメリケン波止場で、その右には3つの突堤が見える。第一突堤は中国船が優先だとのことで、五星紅旗を掲げた中国船が停泊していた。第三突堤には神戸税関がある。税関を通ってフラワーロードをまっすぐ行けば、三ノ宮の駅前に出る。
遊覧船がポートアイランドに近づくと、当時は「世界一」といわれたコンテナヤードが目の前に見えてくる。第四突堤にはノルウェーの豪華客船が停泊していた。ここは外国の旅客船を迎えるためのもので、当時は「東洋一」のポートターミナルといわれた。その四突とポートアイランドを結ぶのが真紅の神戸大橋。橋をくぐると、三井桟橋、第五、第六、第七、第八と突堤がつづく。第七は穀物専用、第八はヨーロッパ航路専用の突堤。第八突堤の向こうには麻耶山が見える。麻耶山から六甲山へと連なる山並みはなだらかで、標高931メートルの六甲山を過ぎると急激に低くなり、山並みが消える。そのあたりが宝塚になる。八突の東側に大きな4本の突堤が見える。麻耶埠頭だ。麻耶埠頭の背後の町並みが灘五郷。六甲の恵(水)を受けた日本一の酒造地帯だ。
こうして遊覧船は1時間ほどの「神戸港一周」を終えて中突堤の船着場に戻ったが、それは阪神淡路大震災の1年前のことだった。