アドレス日本巡礼[256]
投稿日:2015年4月13日
万葉の岬へ
「西国33ヵ所」第27番札所の圓教寺の参拝を終えると、ロープウエイで書写山を下り、姫路の中心街に戻った。姫路城を見たあと、海沿いの国道250号で岡山へ。揖保川の河口を渡ってたつの市に入り、室津を通る。今では瀬戸内海の小さな漁港でしかないが、ここは奈良時代からの港で「摂播五泊」のひとつ。江戸時代は大坂(大阪)と蝦夷を結ぶ日本海航路の重要港で、出船、入船の千石船でにぎわった。西国大名の乗下船地としても栄え、往時の町並みが残り、本陣も残っている。「室津千軒」といわれるほど繁栄した室津だったが、明治以降の汽船や鉄道の出現で衰退した。
たつのと相生の市境までくると、瀬戸内海に突き出た金ヶ崎まで行ってみる。岬の突端からは家島諸島の島々がよく見える。そこは「万葉の岬」。「縄の浦ゆ背向きに見ゆる奥つ島漕ぎ廻る舟は釣しすらすも」の、万葉を代表する歌人、山部赤人の歌碑がある。「縄の浦」は金ヶ崎の西側の相生湾のことだ。「室の浦の湍門の崎なる鳴島の磯越す浪に濡れにけるかも」の、作者不詳の万葉歌碑もある。「室の浦」は藻振鼻から金ヶ崎にかけての室津湾のこと。室津港は東側の藻振鼻と西側の金ヶ崎という2つの岬の間に位置する天然の良港だ。「鳴島」は金ヶ崎眼下の君島、金ヶ崎と鳴島の間が「湍門」になる。
金ヶ崎をあとにすると、波静かな相生湾岸を走る。対岸には石川島播磨の造船所が見える。相生の町に入り、中国風建物の道の駅「あいおい白龍城」でアドレスを止める。そこには「相生ペーロン祭」の「ペーロン船」が展示され、次のように書かれた案内板が立っている。