V-Strom1000で行く日本[6]
投稿日:2015年10月31日
史上最大の津波
浪江ICで常磐道を降りると、インターの出口は国道114号とのT字の交差点になっている。そこを右折し、国道6号へ。通行禁止の国道114号だったが、常磐道の開通以降、浪江ICから国道6号との交差点までは通行できるようになった。その間では右側のセルフのガソリンスタンドが営業を再開している。
国道6号との交差点では右折し、国道の右側にある「ローソン」で止まった。ここは浪江町内で開いている唯一の店。ちょうど昼時ということもあって、広い駐車場は満車状態。復興工事の関係者やパトカーに乗ってやってきた警官たちで店内は満員。弁当や飲み物は飛ぶように売れていく。
「ここは日本で一番売れてるローソン!」
と思ったりもした。
「ローソン」でコンビニ弁当を食べ、国道6号を北上する。
南相馬市に入ると、JR常磐線の小高駅前まで行き、まだ住民の戻っていない小高の町を走り抜けた。震災から4年目だというのに、いまだに住民は町に戻れない。小高からは海沿いの県道255号と内陸の県道34号をともに南に走ったが、いまだに浪江町との境で県道は封鎖されている。
小高に戻ると国道6号を北へ。南相馬市の中心、原町の道の駅「南相馬」でV−ストローム1000を止めた。お茶を飲みながら食べた「かりんとうまんじゅう」は美味。道の駅「南相馬」の一角には「震災伝承コーナー」がある。ここで1枚のパネルに目が止まった。それは「40・1メートル 観測史上最大の津波」というものだった。東日本大震災で岩手県大船渡市の綾里湾を襲った大津波は40メートルを超え、40・1メートルに達したという。それまでは岩手県宮古市の姉吉を襲った大津波の38・9メートルが最大波高だと聞いていたので「40・1メートル」という数字には驚かされた。
南相馬からは海沿いの県道74号を走って相馬市に入り、一軒宿の温泉、蒲庭温泉「蒲庭館」に泊まった。湯から上がると夕食。マグロとタイの刺身、焼き魚、イカの煮物、海鮮鍋、それとナスの煮物を地酒を飲みながら食べた。焼き魚はカンパチのカマ。これが超うまかった。
「蒲庭館」には東日本大震災の直後に泊まった。そのときに聞いた若女将の話は忘れられない。ちょうどその時は高台にある小学校での謝恩会だった。そこから巨大な「黒い壁」となって押し寄せてくる大津波が見えたという。巨大な「黒い壁」は堤防を破壊し、あっというまに田畑を飲み込み、集落を飲み込んだ。多くの人たちが逃げ遅れ、大変な数の犠牲者が出てしまった。
「地震のあと、大津波警報が出たのは知ってましたが、どうせ5、60センチぐらいだろうと思ってました。まさかあんな大きな津波が来るなんて…」