カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本巡礼(番外編)[378]

投稿日:2016年7月2日

シルクロードを西へ

チベット横断 2009年7月

北京のホテルに到着

北京のホテルに到着

西安の「兵馬俑」

西安の「兵馬俑」

「華清池」の温泉の湯口

「華清池」の温泉の湯口

西安の大通り

西安の大通り

京劇風のミュージカルを見る

京劇風のミュージカルを見る

西安郊外のシルクロード起点のモニュメント

西安郊外のシルクロード起点のモニュメント

蘭州の中山橋から見下ろす黄河の流れ

蘭州の中山橋から見下ろす黄河の流れ

祁連山脈の山並み

祁連山脈の山並み

嘉峪関に到着!

嘉峪関に到着!

嘉峪関の城壁から見る万里の長城

嘉峪関の城壁から見る万里の長城

敦煌に通じる一筋の道

敦煌に通じる一筋の道

敦煌のナイトバザール

敦煌のナイトバザール

莫高窟の岩窟を見てまわる

莫高窟の岩窟を見てまわる

「チベット横断」は「道祖神」のバイクツアー、「賀曽利隆と走る!」シリーズの第14弾目。「秩父三十四ヵ所めぐり」を終えてから11日目の2009年7月1日に旅立った。成田発13時55分のKE(大韓航空)704便で北京へ。その夜は「道祖神」の菊地さんら総勢14名のメンバーと一緒に、空港近くのホテル「北京首都機場賓館」に泊まった。まずは北京到着を祝って「燕京ビール」で乾杯!

 翌朝は饅頭、ゆで卵、ソーセージの朝食を食べ、北京空港へ。7時30分、中国の国内線、CA1203便に乗り込み、バイク旅の出発点の西安に向かう。

 北京空港を飛び立つと、広大な華北平原を飛び、やがて山西省の山岳地帯を飛び越えていく。黄河の流れが見えてくると、じきに西安。まっ平な畑作地帯が広がっている。9時20分、西安空港に到着。西安といえば昔の長安の都だが、今でも中国有数の大都市だ。

 西安ではバスツアーでまずは「兵馬俑」に行く。「兵馬俑」の博物館は中国人観光客でにぎわっていた。ここは秦の始皇帝陵の近くで、その陵墓を守るためにつくられた。1974年、この地の農民が井戸を掘るときに発見したもので、世紀の大発見となった。その発見者のオジサンはいまだに元気で、土産物店に座っていた。発掘された「兵馬俑」は数千体にもなるとのことで、秦の始皇帝の力をまざまざとみせつけている。

 つづいて「華清池」を見てまわる。ここは唐の皇帝、玄宗が楊貴妃とともに、しばしば訪れた温泉。玄宗や楊貴妃が入ったという浴室が残されている。今でも43度の湯がこんこんと湧き出る湯口もある。その湯を手ですくって顔を洗ったときの気持の良さといったらなかった。

 西安の中心街に入っていく。西安は城壁の残る町。明代に造られた城壁は600年の歴史を持っている。高さ12メートル、幅は下部で18メートル、上部で15メートルある。東西約3・5キロ、南北約3キロで、一周は約12キロ。唐の長安の都を元にして造られた堂々たる城壁だ。城西門がシルクロードの出発点になっている。

 泊まったホテルは城壁外の「東方大酒店」。夕食後、京劇風のミュージカルを見た。我々は華やかな色彩の踊りの数々に酔いしれた。

 7月3日、バイク旅がいよいよはじまった。ホテルの朝食を食べ、7時、西安を出発。敦煌まではシルクロードを行く。全部で14台のバイク。それにサポートカーが3台つく。バイクは各人、バラバラでぼくが乗ったのは中国製。西安郊外のシルクロード起点のモニュメントに立ち寄り、シルクロードの国道312号を西へと走る。この国道312号は上海が起点。西安からはシルクロードに相当する。天山北路でウルムチを経由し、カザフスタン国境に至る全長4552キロの中国横断国道だ。

 猛烈に暑い一日。気温は40度近い。陝西省から甘粛省に入った。平涼でひと晩泊まり、蘭州では「阿波羅大酒店」に泊まった。目の前を黄河が流れている。真っ赤な流れ。9階の部屋からは蘭州の町並みを見下ろした。さっそく蘭州の町を歩く。黄河沿いの道を歩き、人道橋の中山橋からとうとうと流れる黄河を見下ろした。「阿波羅大酒店」に戻ると夕食。羊肉のシャブシャブで、そのほか何種もの食材を取り放題。夕食後、ふたたび黄河の河畔を歩くのだった。

 7月5日、10時、蘭州を出発。郊外の石油プラントの前を走り抜け、黄河を渡り、河西回廊に入っていく。南側には祁連山脈の山並みがつづく。永登の町で昼食。蘭州名物の「牛肉麺」を食べた。永登を過ぎると、乾燥した風景が広がる。砂漠特有の植物、タマリスクが目につくようになる。

 武威、張腋で泊まり、シルクロードを西へ。平原の中をひた走る。シルクロードの名産品、「夜光杯」で知られる酒泉の町を通り、嘉峪関に到着。ここが万里の長城の西端になる。
「山海関から嘉峪関まで」
 とよくいわれるが、万里の長城の端から端までを意味する。

 万里の長城の東端は中国東北部遼寧省との境の山海関、そして西端がここ嘉峪関になる。その間は約6000キロもある。といってもこれは明代の万里の長城で、それよりもはるか以前の漢代は、さらに西の楼蘭あたりまでつづいていたという。とてつもない長さだ。嘉峪関の城壁に上り、さらに西へとつづく万里の長城を眺めた。

 嘉峪関の町でひと晩泊ると翌日は敦煌へ。玉門の町の手前には無数の風力発電の風車。数の多さに驚かされた。この日は無風状態だったが、この一帯は風が強いという。玉門で昼食。ラグメンを食べる。新疆が近い。ラグメンとはウイグル語だが、麺の上に具をのせて食べる。安西からは砂漠の中の一本道を走る。

 敦煌に到着すると町中の「金葉賓館」に泊まり、夕食後にはナイトバザール(夜市)を歩いた。翌日は一日、敦煌に滞在。早朝の町を歩き、ホテルのレストランで朝食。朝粥は小豆粥だ。朝食の後は観光バスに乗って郊外の莫高窟へ。朝一番の莫高窟なので、まだほとんど観光客は来ていない。日本語を上手に話すガイドの女性の案内で、094窟、096窟、130窟、148窟、172窟、249窟、016窟、017窟と見てまわった。096窟には巨大な弥勒菩薩像、130窟には大仏、148窟には涅槃像、172窟では「飛天」(天女)の壁画、249窟では阿修羅の壁画に目を奪われた。

 敦煌の町に戻ると昼食。午後は町を歩いた。暑い…。頭がクラクラするほどの暑さ。夕食は露天のレストランで。ビールを飲みながらシシカバブーにかぶりつき、そのあと麺&炒飯を食べた。

 敦煌でシルクロードを離れ、青海省の高原地帯からチベット高原に向かっていくのだ。

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