奥の細道紀行[30]
投稿日:2016年9月13日
金華山に渡る
石巻漁港を出発すると国道398号で女川方向に走り、万石浦へ。海岸でスズキST250を停め、カキの養殖イカダが一面に浮かぶ万石浦を眺めた。ここが、芭蕉が日和山の山上から眺めた「奥の海」になる。その西岸に位置する渡波から、昔は金華山への船が出ていたという。
渡波から県道2号で万石橋を渡り、牡鹿半島に入っていく。芭蕉が日和山から眺めた遠嶋というのは牡鹿半島のことだ。右手に田代島、網地島を見ながら走り、牡鹿半島の海岸線を南下し、鮎川に到着した。
鮎川はかつては日本の捕鯨基地としておおいに栄えた。ピークは昭和20年代の後半で、20隻以上の捕鯨船が活躍し、浜には30軒以上もの解体屋が並んだという。その名残で今でも沿岸捕鯨が、細々とではあるがおこなわれている。岸壁には捕鯨船が接岸していた。
「鯨の町」鮎川では鯨の刺身、鯨のフライ、鯨のベーコンという鯨三昧の昼食を食べ、捕鯨博物館の「ホエールランド」を見学。その後、鮎川港の岸壁にST250を置き、観光船で金華山に渡った。金華山までは25分の船旅。牡鹿半島突端の黒崎のすぐ近くを通っていく。半島突端に立つ灯台がよく見える。
金華山周辺の海は寒流の親潮と暖流の黒潮がぶつかり合う境目で、日本有数の漁場になっている。
「みちのくやまに黄金花咲く」
と万葉集にも詠まれた金華山に着くと、鹿のお出迎え。この島には200〜300頭の野生の本州ジカが生息している。海を見下ろす松林の中の道を歩き、最後は息を切らせて急な石段を登り、黄金山神社に参拝。開運の神、大漁の神の黄金山神社だが、金運の神でもあるので、銀行などの金融機関からの奉納物も多く見られた。
ほんとうは時間があれば島の最高峰の金華山(445m)に登りたかったが、「また今度…」ということで諦め、観光船で鮎川港に戻った。島では「きんかざん」といったときは島を指し、「きんかさん」というと山を指すといった話も聞いた。
鮎川からは牡鹿半島の南端へ。残念ながら黒崎への道はない。
御番所公園への道を走っていくと、絶景が展開される。金華山が目の前に見え、振り向くと、網地島、田代島が青い海に浮かんでいる。
山鳥渡からはコバルトラインを走る。スリリングなコーナーが連続するコバルトラインはライダーに人気。途中の大六天展望台からは、牡鹿半島のリアス式海岸を一望し、はるか遠くには金華山を望む。女川では人気スポットの「マリンパル女川」を見てまわった。「マリンパル女川」の前からも金華山への船が出ている。
女川からは国道398号で万石浦の脇を通り、夕暮れの石巻に戻り、石巻に連泊した。
さっそく夜の石巻を歩く。石巻駅に行き、待合室に座っていると、無性に列車に乗りたくなってくる。石巻駅の待合室で地元紙の「河北新報」を読んだあと、駅前食堂の「大もりや」で夕食。「刺身定食」を食べたが、マグロ、ヒラメ、イカ、貝ひも刺身はうまかった。海の幸三昧の「石巻→石巻」だった。