奥の細道紀行[53]
投稿日:2016年11月5日
芭蕉さん、バイクなら1日です
津軽半島最北端の龍飛崎をあとにし、国道339号で三厩へ。
三厩は「義経北行伝説」の地。高台には義経寺があるが、そこから三厩港を見下ろした。三厩はまた東北を縦貫する奥州街道の終点になる。陸路はここで途切れるが、さらに海路で蝦夷の松前に通じていた。芭蕉が三厩まで来ていたら、きっと船で松前に渡ったに違いないと、義経寺の境内でそう思うカソリだった。
芭蕉の義経への想いは深く大きい。もし芭蕉が義経の北行伝説を知っていたら、きっと蝦夷に渡り、積丹半島の神威岬まで行ったに違いない。
ところで奥州街道は日本橋を出発点にみちのくを北上するが、福島県の桑折宿で羽州街道が分岐する。その羽州街道とは青森県の油川宿で合流し、三厩に至る。油川から三厩までは松前街道とも呼ばれる。
三厩はまさに蝦夷への玄関口だ。ここには「松前街道終点碑」が立ち、「義経北行伝説」にちなんだ「義経渡道之碑」も建っている。
三厩からは国道280号で青森へ。
津軽海峡を見ながらスズキのST250を走らせる。鋳釜崎、高野崎と岬に寄っていく。とくに高野崎がいい。津軽海峡の対岸には北海道最南端の白神岬が見える。右手には下北半島最北端(本州最北端)の大間崎が、左手にはさきほど立った津軽半島最北端の龍飛崎が見える。岬の突端には赤白2色の灯台。その先の小道を下っていけば海岸まで降りられる。
高野崎を過ぎると津軽海峡を離れる。国道280号は津軽半島と下北半島の間の平舘海峡沿いの道になる。海岸の台場公園で小休止。目の前の平舘海峡をフェリーが函館方向に進んでいく。ここには松前街道の松並木が残っている。
平舘からは国道280号の旧道を行く。奥州街道と羽州街道の合流点の油川まで来ると、まずは油川温泉の温泉銭湯(入浴料390円)に入り、JR津軽線の油川駅に行き、そして奥州街道と羽州街道の合流地点に立った。油川は青森発祥の地なのだ。
油川から青森へ。青森港のフェリー埠頭に寄っていく。北海道への想いを寄せたところで、フェリーターミナルの食堂で「ホタテ塩ラーメン」(800円)を食べ、夜の青森駅前に到着した。
「芭蕉さ〜ん、バイクなら象潟から1日で、青森まで行けますよ〜!」
と、青森駅前で芭蕉にそう言ってやった。