奥州街道を行く! [3]
投稿日:2017年4月21日
造り酒屋と宿場町
国道4号の旧道で埼玉県に入る。最初の宿場は草加宿。奥州街道(日光街道)名物「草加煎餅」の店を何軒も見る。綾瀬川沿いには松並木が残っている。越谷宿、大沢宿と通り、粕壁宿へ。粕壁宿は今の春日部だが、春日部駅周辺の中心街は「粕壁」で、当時の宿場名がそのまま地名として残っている。春日部を過ぎると、杉戸宿、幸手宿、栗橋宿の3宿を走り抜けていく。これらの3宿には江戸の昔を偲ぶかのような土蔵造りの建物が残っている。スズキDR−Z400Sを走らせながら見る旧街道の風情を楽しんだ。
栗橋宿から「坂東太郎」の利根川を渡り、茨城県に入る。東京から栗橋宿までは旧国でいうと武蔵国だが、利根川を渡ると常陸国になる。栗橋は奥州街道の大きな境目なので関所が置かれたが、利根川の堤防の下に「栗橋関所跡」の碑が建っている。江戸時代はこの関所を通り抜けた船着場から渡し船で対岸に渡った。
茨城県内には中田宿、古河宿の2宿があるが、古河の町並みを抜け出るともう栃木県。旧国名でいうと下野国に入る。
栃木県内最初の野木宿では野木神社を参拝し、間々田宿ではJR間々田駅近くの食堂「小川屋」で「うな重」(1250円)を食べた。こうしてウナギを食べられるのも旧街道ならではのもので、昔の旅人たちがウナギを食べて元気をつけた名残といえる。間々田宿には造り酒屋の「若盛」があるが、この造り酒屋も旧街道を象徴している。旧街道の宿場町と造り酒屋は切り離せない関係にある。
小山宿からは国道4号で新田宿、小金井宿、石橋宿、雀の宮宿を通り、宇都宮宿に到着。日本橋から107キロ。ここで奥州街道と日光街道が分岐する。
宇都宮駅手前の交差点を左折し、県道125号で白沢宿に向かう。この道が旧奥州街道になる。東京から宇都宮まで奥州街道はほぼ国道4号に沿っているが、宇都宮から白河までは国道4号から大きく外れている。そのため「宇都宮→白河」間の奥州街道は、時代から取り残されたような区間になっている。そのため旧街道の風情が色濃く漂い、一里塚なども残り、宿場の家並みなどに昔のたたずまいが見られる。ということで「宇都宮→白河」間というのはじつに面白く、興味深く走れる区間なのだ。
宇都宮宿から白沢宿、阿久津宿、氏家宿、喜連川宿、佐久山宿と通り、那須野原の中心の大田原宿へ。ここまでは県道125号→国道293号→県道114号→県道48号というルートになる。大田原はこの地方の交通の要地で、現在でも何本もの道がこの町に集まっている。
大田原宿からは県道72号で鍋掛宿、越堀宿を通り芦野宿へ。芦野宿で国道294号に合流し寄居宿へ。ここが関東最後の宿場になる。寄居宿を過ぎると栃木・福島県境の明神峠に到達。いよいよ「みちのく」だ。峠には「境の明神」がまつられている。関東側に玉津島神社、奥州側には住吉神社。両社が国境を境にして隣りあっている。この奥州街道の峠には「二所ヶ関址」碑もある。
明神峠を下ると白坂宿。さらに国道294号を行くと国道289号を横切って白河の中心街の白河宿に入っていく。
趣のあるJR白河駅前でDR−Z400Sを止めたが、東京から白河宿までが「江戸五街道」の奥州街道になる。だが奥州街道はこの先、青森までが長い。