奥州街道を行く! [12]
投稿日:2017年5月12日
宮沢賢治の世界
「平泉探訪」を終えると、国道4号の旧道で前沢宿から水沢宿へとスズキDR−Z400Sを走らせる。
奥州市の中心の水沢宿では陸中国の一宮、駒形神社を参拝。この駒形神社は新一宮といわれるが、何も新しく造られた神社という意味ではない。創建は太古の昔で、雄略天皇21年といい伝えられている。祭神は天照大神、天常立尊、国狭立尊、吾勝尊、奥瀬尊、彦火尊の6神で、「駒形大神」と総称される。金ヶ崎の駒ヶ岳(1129m)が御神体で、山頂には奥宮がまつられている。
ではなぜ新一宮なのかといえば、「陸中」が新しくできた国だからだ。明治維新の1868年、陸奥、出羽2国の広大な東北は、全部で7つの国に分けられた。陸奥が磐城、岩代、陸前、陸中、陸奥の5国に、出羽が羽前、羽後の2国に分けられた。陸中はその新しい7国のうちの1国なのである。
駒形神社の参拝を終えると、水沢の中心街から国道397号を西に行ったところにある石田温泉の湯に入った。
水沢宿を出発すると、金崎宿、鬼柳宿、黒沢尻宿と奥州街道の宿場を通り、花巻宿へ。
花巻宿に着くと、町の東側を流れる北上川の堤防上にDRを止め、宮沢賢治の名づけた「イギリス海岸」を歩いた。水量が多く、ドーバーの「ホワイト・クリフ(白い断崖)」とは似ても似つかない風景だったが、心に残る北上川の眺めだ。
「イギリス海岸」を見たあとは北上川を渡り、小高い丘の上にある「宮沢賢治記念館」を見学。花巻で生まれ育った賢治の生涯を見たあとは、隣りあったレストランの「山猫軒」で「イーハトーブ定食」(1450円)を食べた。「山猫軒」というのは賢治の作品の「どんぐりと山猫」にちなんだ店名。イーハトーブは理想郷を意味する賢治の造語だが、「イーハトーブ定食」には郷土食のヒッツミや煮物、天ぷら、サトイモ、キノコ料理と岩手の味覚が満載だ。