カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[16日目]

投稿日:2017年7月4日

塩原温泉郷へと峠を越える

関東編 16日目(2006年11月16日)

 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の朝湯に入り、朝食を食べて出発。奥鬼怒温泉郷をめぐる。

 第1湯目は手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」。加仁湯温泉から雪道を30分ほど歩いて到着。加仁湯温泉の小松さんが電話をしてくれたおかげでタダで入らせてもらった。内風呂は大きな石の湯船。湯口からはドーッと勢いよく湯が流れ出ている。青いタイルを敷き詰めた露天風呂はペルシャンブルーの湯に入っているような気分になる。木の樋から流れ落ちる湯は猛烈に熱いが、何しろ外気温が低いので、露天風呂の湯温度はジャスト適温。手白沢温泉は「兵次郎の湯」ともいわれるが、その由来が次のように書かれている。

 東京・渋谷で商いを営んでいた兵次郎は無類の狩り好きで、たびたび奥鬼怒を訪れていた。手白沢にこんこんと湧き出る温泉をみつけると、昭和10年、私財を投げうってこの地に温泉宿をつくりました。当時は現在のように道は整備されておらず、今市市北端の集落小白から歩いてくるした手段がなく、途中の険しい谷には粗末な丸木橋がかかっているだけでした。利用客の多くは登山者で、疲労回復や傷によく効くこの湯はとても喜ばれました。

 手白沢温泉から加仁湯温泉に戻ると、今度は相棒のスズキGSR400に乗って第2湯目の八丁の湯温泉「八丁湯」へ。ここには2つの露天風呂。ともに混浴の湯。湯船には湯華が浮かんでいる。奥鬼怒温泉郷にはもう1湯、日光沢温泉があるが、入れなかった。

 雪道を走って第3湯目の女夫淵温泉に戻ると、「女夫淵温泉ホテル」の湯に入る。ここの日帰り湯「女夫の湯」の露天風呂はすごい。何がすごいかって、その数がすごいのだ。白寿の湯、大天狗の湯、小天狗の湯、人魚の湯、福禄寿の湯、毘沙門の湯、弁財天の湯、寿老人の湯、恵比寿の湯、大黒天の湯と、何と10湯もの混浴露天風呂がある。そのほか女性専用の布袋の湯、天女の湯もある。

「さー、気合を入れて入るぞ!」と10湯を次々に入っていく。「人魚の湯」だけは湯を落としていて入れなかったが、残りの9湯に入った。9湯の露天風呂をはしご湯するとけっこう湯疲れするもので、湯から上がると、無料の休憩所でしばしのゴロ寝。深海に落ちていくかのような深い眠りだった。

 女夫淵温泉からは昨日、来た道を川治温泉まで戻り、川治温泉の食堂「やまぼうし」で手打ちの「ざるそば」を食べる。遅い昼食だが、14時に川治温泉を出発。さ〜、温泉めぐり、午後の部の開始だ。

 第4湯目は湯西川温泉。国道121号から県道249号を行き、湯西川温泉に到着。温泉街を流れる湯西川にかかる湯前橋のたもとに共同浴場がある。その前には子授地蔵がまつられている。料金箱に100円玉を入れて、誰もいない共同浴場の熱めの湯につかった。湯西川温泉から国道121号に戻ると北へ。第5湯目は三依温泉「みより荘」の「まるみの湯」。石の湯船。木をふんだんに使った湯屋。

「まるみの湯」から上がると、国道121号をさらに北へ。国道400号と合流し、東北との境の山王峠まで行く。吹きつける北風は猛烈に冷たい。山王峠の「峠返し」では峠のトンネルを抜け、福島県側に入った。東北に入ったのだ。東北の温泉めぐりをするのは半年先の来年の夏のことになるが、「待ってろよ、東北!」と、叫んでやった。そして来た道を引き返した。

 国道121号から国道400号に入り、尾頭峠に向かう。山王峠同様、超寒い…。尾頭峠の電光表示の温度計は0度を表示しているが、バイクで寒風を切りつづけて走るので、体感温度は氷点下10度ぐらいだ。尾頭峠のトンネルを抜け、塩原温泉郷へと下っていく。

 第6湯目は上塩原温泉の日帰り湯「華の湯」。体の芯まで冷え切っているので、温泉のありがたさを実感。もう手を合わせたくなるほどのありがたさだ。ここまで体が冷えると、ストーブにあたったぐらいでは、なかなかあたたまらない。それが温泉の湯につかると、ほとんど瞬間的に骨の髄まであたたかくなる。

 今晩の宿は塩原温泉郷の中心、古町温泉の温泉旅館「上会津屋」。到着は20時30分。趣のある宿だ。第7湯目の「宿湯」につかり、湯から上がると、部屋でカンビールを飲み干す。そのあと「海老ピラフ」、「ビーフシチュー」、「納豆巻き」のコンビニ弁当を食べるのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」
朝食 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」 ご飯、納豆、半熟卵、干物の焼き魚、のり、煮物、漬物、豆腐、味噌汁
8時45分 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」を出発
127湯目 手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」(0円)
※加仁湯温泉の小松さんが電話をしてくれたおかげでタダで入らせてもらった
128湯目 八丁の湯温泉「八丁湯」(500円)
日光沢温泉(入れず)
129湯目 女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」(1000円)
昼食 川治温泉の食堂「山ぼうし」 「大盛りざるそば」(800円)
130湯目 湯西川温泉「共同浴場」(100円)
131湯目 三依温泉「まるみの湯」(400円)
山王峠(峠返し)
尾頭峠(峠越え)
132湯目 上塩原温泉「華の湯」(700円)
20時30分 古町温泉「上会津屋」(1泊朝食10150円)に到着
133湯目 古町温泉「上会津屋」
夕食 コンビニ弁当(海老ピラフ、ビーフシチュー、納豆巻き)
本日の走行距離数 194キロ
本日の温泉入浴数 7湯

加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の露天風呂加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の露天風呂に入る加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の露天風呂からの眺め

加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の露天風呂 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の露天風呂に入る 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の露天風呂からの眺め

加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の朝食加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の囲炉裏加仁湯温泉「ホテル加仁湯」を出発

加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の朝食 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」の囲炉裏 加仁湯温泉「ホテル加仁湯」を出発

加仁湯温泉「ホテル加仁湯」を一望手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」の内風呂

加仁湯温泉「ホテル加仁湯」を一望 手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」 手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」の内風呂

手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」の露天風呂手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」の露天風呂に入る加仁湯温泉から雪道を下っていく

手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」の露天風呂 手白沢温泉「手白沢温泉ヒュッテ」の露天風呂に入る 加仁湯温泉から雪道を下っていく

八丁の湯温泉「八丁湯」八丁の湯温泉「八丁湯」の露天風呂八丁の湯温泉「八丁湯」の露天風呂に入る

八丁の湯温泉「八丁湯」 八丁の湯温泉「八丁湯」の露天風呂 八丁の湯温泉「八丁湯」の露天風呂に入る

八丁の湯温泉「八丁湯」のもうひとつの露天風呂日光沢温泉女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」

八丁の湯温泉「八丁湯」のもうひとつの露天風呂 日光沢温泉 女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」

女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の「白寿の湯」女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の「大天狗の湯」女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の「寿老人の湯」

女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の「白寿の湯」 女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の「大天狗の湯」 女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の「寿老人の湯」

女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の露天風呂に入る川治温泉の食堂「やまこし」川治温泉の食堂「やまこし」の「大盛りざるそば」

女夫淵温泉「女夫淵温泉ホテル」の露天風呂に入る 川治温泉の食堂「やまこし」 川治温泉の食堂「やまこし」の「大盛りざるそば」

川治温泉の川治四十七滝湯西川温泉湯西川温泉の共同浴場

川治温泉の川治四十七滝 湯西川温泉 湯西川温泉の共同浴場

湯西川温泉の共同浴場の湯湯西川温泉の共同浴場前の子授地蔵三依温泉「まるみの湯」

湯西川温泉の共同浴場の湯 湯西川温泉の共同浴場前の子授地蔵 三依温泉「まるみの湯」

三依温泉「まるみの湯」の浴室上塩原温泉「華の湯」夕食のコンビニ弁当

三依温泉「まるみの湯」の浴室 上塩原温泉「華の湯」 夕食のコンビニ弁当

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