カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[48日目]

投稿日:2017年9月7日

日本有数の高アルカリ温泉群

甲信編 24日目(2006年12月24日)

 一之橋温泉「一之橋館」の朝湯に入り、湯から上がると朝食。8時に大広間に行くと、なんとそこには「シルクロード軍団」の長谷川さんがいるではないか。思わず我が目を疑ったほど。旅は驚きの連続なのがいい。長谷川さんは「300日3000湯」のサイトの速報を見て一之橋温泉に来てくれたのだ。「ユンケル」と「眠眠打破」を差し入れてもらった。

 長谷川さんは7時前には「一之橋館」に到着したそうで、その間、ずっとぼくを待ってくれていた。朝食は長谷川さんの分も用意されていて、納豆や目玉焼き、塩ジャケ、なめこおろし、黒豆、酢の物、漬物といった朝食を一緒に食べた。

 食後はお茶を飲みながらの「シルクロード談義」。「シルクロード横断」では長谷川さんにほんとうに助けられた。「中国風邪」にこっぴどくやられてダウン寸前のとき、長谷川さんにもらった薬を飲んだおかげでひと晩、眠れた。猛烈な下痢に見舞われたときも、長谷川さんの薬のおかげで治った。

 そんな長谷川さんは一之橋温泉の近くの牧丘に別荘を持っている。「一之橋館」を出発すると、長谷川さんの車について走り、別荘まで行った。すばらしいロケーションで、牧丘の町並みや果樹園を見下ろし、真正面には御坂山地の山並みの上に突き出た富士山を見る。ここは牧丘でも一、二の富士山のビューポイントだという。

 その日は長谷川さんの娘さんが久しぶりにアメリカから帰ってくるという。そんな日にわざわざ一之橋温泉まで来てくれたのだ。

「これから成田まで娘を迎えに行くんですよ」
 という長谷川さんと勝沼まで一緒に走り、国道20号の旧道に出たところで別れた。長谷川さんは勝沼ICで中央道に入り、東京へと向かっていった。

 第1湯目は勝沼温泉「勝沼健康福祉センター」の湯。茶色っぽい湯の色。ここは内風呂のみで、湯から上がると、長谷川さんにいただいた「ユンケル」を飲んだ。

 勝沼からは国道20号で笹子峠に向かっていく。その手前で左に入り、日川の渓谷へ。

 第2湯目は田野温泉「田野の湯」。ここはペハー10・3という高アルカリ性の湯で、内風呂は「つるつる湯」。だが露天風呂の湯にはそれほどのツルツル感はなかったが、湯につかりながら見上げる抜けるような青空が目に残った。

 第3湯目はやまと天目山温泉の日帰り湯「やまとふれあいやすらぎセンター」。ここもペーハー10・3という高アルカリ性の湯で内風呂も露天風呂もツルツル湯。湯から上がると昼食。「ラーメンライス」を食べた。ここでは「ケロさん」と「ウサさん」の2人に会った。天目山といえば、武田の終焉の地なので、やまと天目山温泉を離れるときには、胸にジーンとくるものがあった。

 第4湯目は嵯峨塩温泉「嵯峨塩館」の湯。ここは妻と一緒に泊まったことがあるのでなつかしい。露天風呂の湯につかりながら日川の渓谷を見下ろす。湯の中談義をした常連さんは、「ここの湯はよく効くよ。(飲泉すると)胃潰瘍が治った。温泉の医者いらずとはよく言ったものだ」といっていた。ぼくはそれ以前にも、ハードなダートコースだったころの上日川峠を越えたときに何度か入っている。これら日川の渓谷にある3湯は、どこもph10以上の日本でも有数の高アルカリ性の温泉だ。

 国道20号で笹子峠を越える。一軒宿の笹子温泉「笹子鉱泉」は廃業湯で入れなかった。入口の「神経痛にはよく効く笹子鉱泉」の看板は下ろされていた。次の日の出温泉は休業中で入れず。真木温泉は外来入浴時間の15時を過ぎていたので入れなかった。

 大月からは国道139号を南下する。

 法能温泉は入れず、第5湯目は都留温泉「芭蕉月待の湯」。大浴場と露天風呂。温めの源泉の湯船で長湯した。

 第6湯目は河口湖温泉「開運の湯」。ここでは脱衣籠に小銭入れの忘れ物。すぐさまフロントに持っていったが、中には500円玉がびっしりと入っていた。きっと温泉好きな人の忘れ物に違いないと直感した。つづいて第7湯目の富士青木ヶ原樹海温泉「ゆらり」の湯に入った。ここは「富士山眺望の湯」で知られているが、この時間ではまったく見えない。それでも人気の湯だけあってワサワサと混んでいた。

 富士青木ヶ原樹海温泉「ゆらり」の湯から上がったのは20時40分。この時間でも、まだ宿が決まっていない…。焦る気持ちで国道139号沿いの電話ボックスに入り、電話帳で「不動湯」をみつけた。祈るような気持ちで電話すると、「いいですよ」の返事。ありがたい。思わず小躍りして喜んだ。

 コンビニで弁当を買い、富士吉田へ。ところがそこからが問題だった。不動湯温泉はとんでもない秘湯。暗い夜道を必死の形相で走り、山中に入っていく。車一台がやっと通れるような小道を登りつめ、ついに宿を探し当てた。到着は22時30分。

 さっそく「奇跡の霊泉」といわれる第8湯目の宿湯に入る。この湯は医者に見離されたような慢性の皮膚病に効くという。湯から上がると、まずはカンビールで乾杯。そのあとコンビニ弁当を食べ、長谷川さんにいただいた「ナポレオン」のミニボトルを飲んだ。コニャックの芳醇な香りを楽しみながら、秘湯の温泉宿で一人、クリスマスイブを祝うのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 一之橋温泉「一之橋館」
「長谷川さん」が宿に来てくれる。一緒に朝食をいただく
朝食 一之橋温泉「一之橋館」 鍋、目玉焼き、塩ジャケ、納豆、ナメコおろし、酢の物、漬物、ご飯、味噌汁
9時 一之橋温泉「一之橋館」を出発
「長谷川さん」との別れ
409湯目 勝沼温泉「勝沼健康福祉センター」(500円)
410湯目 田野温泉「田野の湯」(600円)
411湯目 やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」(800円)
昼食 やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」 「ラーメンライス」(600円)
「ケロさん」&「ウサさん」との出会い
412湯目 嵯峨塩温泉「嵯峨塩館」(500円)
笹子温泉(廃業湯)
日の出温泉(入れず)
真木温泉(入れず)
法能温泉(入れず)
413湯目 都留温泉「芭蕉月待の湯」(700円)
414湯目 河口湖温泉「開運の湯」(1000円)
415湯目 富士青木ヶ原樹海温泉「ゆらり」(1000円)
22時30分 不動湯温泉「不動湯」(素泊まり4000円)
416湯目 不動湯温泉「不動湯」
本日の走行距離数 163キロ
本日の温泉入浴数 8湯

一之橋温泉「一之橋館」の朝湯に入る「一之橋館」の朝食「一之橋館」に長谷川さんが来てくれた!

一之橋温泉「一之橋館」の朝湯に入る 「一之橋館」の朝食 「一之橋館」に長谷川さんが来てくれた!

「一之橋館」を出発長谷川さんの牧丘の別荘からの眺め長谷川さんの牧丘の別荘から富士山を見る

「一之橋館」を出発 長谷川さんの牧丘の別荘からの眺め 長谷川さんの牧丘の別荘から富士山を見る

勝沼温泉「勝沼健康福祉センター」勝沼から見下ろす甲府盆地やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」

勝沼温泉「勝沼健康福祉センター」 勝沼から見下ろす甲府盆地 やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」

やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」の「ラーメンライス」嵯峨塩温泉「嵯峨塩館」嵯峨塩温泉「嵯峨塩館」の湯

やまと天目山温泉「やまとふれあいやすらぎセンター」の「ラーメンライス」 嵯峨塩温泉「嵯峨塩館」 嵯峨塩温泉「嵯峨塩館」の湯

国道20号の笹子峠JR中央本線の初狩駅真木温泉には入れず…

国道20号の笹子峠 JR中央本線の初狩駅 真木温泉には入れず…

都留温泉「芭蕉月待の湯」河口湖温泉「開運の湯」富士青木ヶ原樹海温泉「ゆらり」

都留温泉「芭蕉月待の湯」 河口湖温泉「開運の湯」 富士青木ヶ原樹海温泉「ゆらり」

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