カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[136日目]

投稿日:2018年8月24日

人間クッション作戦

九州編 7日目(2007年4月26日)

 霞の里温泉「レーク大樹」の朝湯に入る。5階の展望風呂。大浴場と露天風呂。浴室からは湖山池を見下ろす。朝食は朝粥だ。焼き魚、玉子焼き、湯豆腐、煮物、海苔を好物のお粥で食べる。

 9時15分、霞の里温泉「レーク大樹」を出発。

 鳥取からは国道9号を西へ。

 第1湯目は大栄温泉「大栄温泉公衆浴場」の湯。赤味を帯びた湯で、鉄錆のような味がする。いい湯だ。湯につかりながら、思わず「効く〜!」と声が出てしまう。湯上りにはイチゴ。1パック250円のイチゴをペロッと食べる。その早いこと。大粒の甘味をひかえたイチゴはおいしかった。浴室の脱衣所には三朝、東郷、関金のこの地方の名湯3湯の成分表が張られているが、大栄温泉の数値はそれら3湯のはるかに上をいく。

 第2湯目は中山温泉「ゆーゆ倶楽部naspal」。大浴場の内風呂のみ。ここは「美肌の湯」。浴室のガラス越しに庭園を眺める。湯につかりながら庭園を見るのはいいものだ。湯は無色透明無味無臭。

 第3湯目は大山伽羅温泉「大山レークホテル」の湯。大浴場からは大野池を見下ろす。その向こうには大山の峰々。ここは大山の山中の一軒宿だ。

 第4湯目は日吉津温泉「うなばら荘」。広々とした浴室。大浴場は日本海を眺める。湯はほぼ無色透明で塩分を含んでいる。湯から上がると昼食。「昼定食」を食べたが、刺身、煮魚、モズク、キノコの「昼定食」はよかった。

 第5湯目は夢みなと温泉「みなと温泉館」の湯。今日は「ふろの日」で、入浴料金は50円引きの450円。割引湯というのはありがたい。内風呂と露天風呂は割引湯ということもあって、かなり混んでいた。湯は無色透明。境港の海越しに島根半島を見る。その突端は美保ヶ関だ。

 第6湯目は岸本温泉。大浴場と露天風呂。露天風呂は温めの湯で、湯につかりながら何人かの人たちの話を聞いた。その話というのはこの地方の温泉の品評会。どこどこはどうだとみなさん全員が温泉評論家。その中では「ラピスパ」も出た。入浴料が1200円なのでパスした温泉なのだが、800円で入れる日があるらしい。温泉評論家のみなさんの一致した意見は「岸本温泉が一番!」というもの。皆生温泉などよりも、みんさんの評価ははるかに高かった。

 岸本温泉が鳥取県最後の温泉。

 国道181号から山陰道に入り、安来ICで降り、島根県内の温泉めぐりを開始する。

 山陰道の側道を走り、県道9号→県道45号で鷺の湯温泉に向かおうとした。県道9号との分岐はT字路。いったん停止し、右に曲がろうとしたときのことだ。路面にうすくまいたような砂は目には入っていたが、まったく気にすることなく右折した。その瞬間、後輪が砂にとられ、ツルッと滑り、半回転してガードレールに突っ込んだ。その間はほんの1、2秒。まさに刹那の瞬間だ。

「やばい!」
 と思うのと同時に、その1、2秒でいろいろなことを考えた。

 その結論は、なんとしてもバンディットのダメージを最小限に食い止めなくてはならないということだった。

 ガードレールに直角に突っ込むとかなりのダメージを食らってしまうので、できるだけ浅い角度にしなくてはならない。転倒してタンクに傷がつくのをできるだけ避けたかった。そこで自分の体をクッションにしようと考えた。1、2秒というのはこれだけいろいろなことを考えられる時間なのだ。

「ガッシャーン!」

 かなりハデな音をたててガードレールに突っ込んだが、1、2秒で考えた通りの突っ込み方になり、そして転倒した。

 うまい具合に斜めから突っ込めたので、ハデな音のわりにはバンディットにダメージはなく、自分の体を下敷きにしたのでタンクはまったくの無傷だった。クラッチレバーを折り、左前方のウインカーが壊れてプラプラしているが、奇跡的にもバンディットのダメージはそのくらいですんだ。そのかわりぼくの方は左手の肘、左膝を強打し、かなり切ったが、この程度の怪我ならどういうこともない。

「人間クッション作戦」、大成功!

 うれしかったのは後続の車がすぐに止まってくれたことだ。「おい、大丈夫か」と、運転していた方は声をかけてくれ、バンディットを一緒になって起こしてくれた。

 このあとは痛みに耐えながらの温泉めぐり。

 第7湯目は鷺の湯温泉「夢ランドしらさぎ」の湯。大浴場と露天風呂。露天風呂は趣がある。ここの源泉は54・5度。

 第8湯目は広瀬温泉「月山の湯」。小さな浴室の小さな湯船につかる。湯はいい。草色がかった濁り湯。地元のみなさんと一緒に小さな湯船につかりながらの「湯の中談義」がすごくよかった。

 第9湯目は比田温泉「湯田山荘」。17時以降、入浴料金は半額で、250円で入れた。明るく広々とした大浴場の湯につかる。それにしても傷が痛む。じっとこらえて湯につかった。

 第10湯目は亀嵩温泉「玉峰山荘」。ここは大規模な温泉施設。大浴場と大岩を配した大露天風呂の湯につかる。湯から上がると夕食。「担々麺」を食べたのだが、かなりの激辛だった。

 21時45分、今晩の宿、奥出雲の斐乃上温泉「斐乃上荘」に到着した。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 霞の里温泉「レーク大樹」
朝食 霞の里温泉「レーク大樹」 お粥、焼き魚、玉子焼き、湯豆腐、煮物、海苔
9時15分 霞の里温泉「レーク大樹」を出発
1272湯目 大栄温泉「大栄温泉公衆浴場」(450円)
1273湯目 中山温泉「ゆーゆ倶楽部naspal」(420円)
1274湯目 大山伽羅温泉「大山レークホテル」(840円)
1275湯目 日吉津温泉「うなばら荘」(400円)
昼食 日吉津温泉「うなばら荘」 昼定食(1050円)
1276湯目 夢みなと温泉「みなと温泉館」(450円・割引)
1277湯目 岸本温泉「ゆうあいパル」(300円)
島根県に入る
1278湯目 鷺の湯温泉「夢ランドしらさぎ」(400円)
1279湯目 広瀬温泉「月山の湯」(400円)
1280湯目 比田温泉「湯田山荘」(250円)
1281湯目 亀嵩温泉「玉峰山荘」(500円)
夕食 亀嵩温泉「玉峰山荘」 担々麺(650円)
21時45分 斐乃上温泉「斐乃上荘」(1泊朝食6620円)
1282湯目 斐乃上温泉「斐乃上荘」
本日の走行距離数 259キロ
本日の温泉入浴数 11湯

湖山池に昇る朝日霞の里温泉「レーク大樹」の朝湯に入る「レーク大樹」の朝食

湖山池に昇る朝日 霞の里温泉「レーク大樹」の朝湯に入る 「レーク大樹」の朝食

「レーク大樹」を出発大栄温泉「大栄温泉公衆浴場」「大栄温泉公衆浴場」で食べたイチゴ

「レーク大樹」を出発 大栄温泉「大栄温泉公衆浴場」 「大栄温泉公衆浴場」で食べたイチゴ

中山温泉「ゆーゆ倶楽部naspal」大山伽羅温泉「大山レークホテル」の湯日吉津温泉「うなばら荘」

中山温泉「ゆーゆ倶楽部naspal」 大山伽羅温泉「大山レークホテル」の湯 日吉津温泉「うなばら荘」

「うなばら荘」の「昼定食」夢みなと温泉「みなと温泉館」絵になるバンディット1250S。美保湾で

「うなばら荘」の「昼定食」 夢みなと温泉「みなと温泉館」 絵になるバンディット1250S。美保湾で

岸本温泉「ゆうあいパル」安来ICで山陰道を降りる鷺の湯温泉「夢ランドしらさぎ」

岸本温泉「ゆうあいパル」 安来ICで山陰道を降りる 鷺の湯温泉「夢ランドしらさぎ」

広瀬温泉「月山の湯」比田温泉「湯田山荘」亀嵩温泉「玉峰山荘」

広瀬温泉「月山の湯」 比田温泉「湯田山荘」 亀嵩温泉「玉峰山荘」

「玉峰山荘」の「担々麺」斐乃上温泉「斐乃上荘」に到着

「玉峰山荘」の「担々麺」 斐乃上温泉「斐乃上荘」に到着  

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