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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ジクサー150分割日本一周[10]

投稿日:2020年5月22日

プロローグ 10[温泉めぐり紀伊半島一周](2016年11月22日)

周辺は一面のみかん畑

湯浅温泉「湯浅城」の部屋からの眺め

湯浅温泉「湯浅城」の部屋からの眺め

湯浅温泉「湯浅城」を出発

湯浅温泉「湯浅城」を出発

 2017年11月22日。湯浅温泉「湯浅城」の朝湯に入り、朝食を食べ、8時に出発。「温泉めぐりの紀伊半島一周」の後半戦、開始。左足の痛みは相変わらずだが我慢、我慢でVストローム1000を走らせる。

 国道42号を北上。周辺は一面のミカン畑。「有田ミカン」の本場を思わせる光景だ。国道沿いには有田ミカンを販売する店が見られた。

 山中を抜け出し、有田川に下っていく。国道42号はしばらくは有田川沿いの道になる。国道42号の左側にある有田川温泉「光の湯」でV−ストローム1000を止めた。ここをこの日の第1湯目にしたかったが、残念ながらオープンは11時からなのでパス。有田川の河口を渡り、海南市に入ったところで紀州黒潮温泉に行ったが、オープンは10時からなので、ここも残念ながらパスした。

 国道42号で和歌山市の中心街に入っていく。和歌山城を間近に見る「和歌山城角」の交差点が浜松を起点にする国道42号の終点。ここは京都から奈良経由で和歌山に通じる国道24号の終点であり、大阪から和歌山に通じる国道26号の終点にもなっている。まさに「和歌山の十字路」といったところだ。

国道42号沿いの有田川温泉「光の湯」はパス国道42号で和歌山の中心街に入っていく。ここは岡山町国道42号終点の「和歌山城角」の交差点

国道42号沿いの有田川温泉「光の湯」はパス 国道42号で和歌山の中心街に入っていく。ここは岡山町 国道42号終点の「和歌山城角」の交差点

和歌山市内をめぐる

和歌山のシンボル、和歌山城の天守閣

和歌山のシンボル、和歌山城の天守閣

紀伊の一宮、日前神宮を参拝

紀伊の一宮、日前神宮を参拝

花山温泉に到着

花山温泉に到着

花山温泉の赤茶けた湯

花山温泉の赤茶けた湯

「和歌山」というのは紀ノ川の沖積平野にポツンと立つ小丘の名前。天正13年(1585年)、豊臣秀吉がその山頂に和歌山城を築き、弟の秀長の居城になった。江戸時代は徳川御三家の紀伊家の居城。

 和歌山は元々は岡山といわれていた。その岡山と景勝地として名高い和歌浦が合体して和歌山になった。痛む足をひきずって歩き、和歌山のシンボルの和歌山城を見てまわる。搦手門の岡口門から入り、石段を登り、天守閣を見た。

 次に和歌山城前の道を東にまっすぐ走り、紀伊の一宮に行く。ここには日前神宮と国懸神宮の2社があり、両社は同じ境内に隣りあっている。

 駐車場にV−ストローム1000を止めると、うっそうと樹木のおい茂る参道を歩いていく。和歌山の市内にいるとはとても思えないような緑の豊かさ、そして静けさ。これが一宮の魅力というものだ。

 T字にぶつかると、最初に左の日前神宮、次に右の国懸神宮という順に参拝する。日前神宮の神社名は「ひのくまじんぐう」。ここは南海電鉄の日前宮(にちぜんぐう)駅近くにあるが、この駅名からわかるように、地元のみなさんは「にちぜんぐう」と呼んでいる。国懸神宮の方は「くにかかすじんぐう」になる。

 紀伊の一宮の参拝を終えると、和歌山城からの道をそのまま走り、阪和自動車道の和歌山ICの方向へ。和歌山ICの手前に花山温泉がある。

 第10湯目の花山温泉「薬師の湯」(入浴料1100円)に入る。ここの営業時間は8時から23時までなので入りやすい。宿泊もできるし、食事もできる温泉だ。湯がすごい。大浴場の湯船の縁には温泉の成分が厚くこびりついて堆積している。湯は濃いミカン色。温泉の成分の味がする。大浴場の湯にどっぷりつかったあと、露天風呂の湯に入った。花山温泉は関西圏屈指の炭酸鉄泉の温泉だ。

紀伊半島縦断ルートを行く

かつらぎ温泉「八風の湯」

かつらぎ温泉「八風の湯」

かつらぎ温泉「八風の湯」の露天風呂

かつらぎ温泉「八風の湯」の露天風呂

奈良県側の国道24号沿いにある「金剛乃湯」

奈良県側の国道24号沿いにある「金剛乃湯」

「金剛乃湯」の露天風呂

「金剛乃湯」の露天風呂

吉野川沿いの下市を行く

吉野川沿いの下市を行く

東吉野村に入っていく

東吉野村に入っていく

東吉野村のニホンオオカミ像

東吉野村のニホンオオカミ像

たかすみ温泉「たかすみの里」

たかすみ温泉「たかすみの里」

たかすみ温泉「たかすみの里」の大浴場

たかすみ温泉「たかすみの里」の大浴場

奈良・三重県境の高見峠

奈良・三重県境の高見峠

「紀伊半島一周」の出発点、紀勢道の勢和多気ICから和歌山までは、紀伊半島一周ルートの国道42号を走った。

 和歌山から勢和多気ICまでは紀伊半島横断ルートを行く。

 その第1本目は国道24号。紀ノ川に沿った道だ。

 第11湯目はかつらぎ温泉「八風の湯」(入浴料1000円)。設備の整った温泉施設で、ここからは北に和泉山脈の主峰、和泉葛城山(858m)が見える。

 大浴場の一の湯、二の湯、三の湯、四の湯と入ったが、それぞれ源泉の違う湯。さらに大露天風呂もある。すべてが源泉掛け流しの湯だ。

 国道24号で橋本を通り、県境を越えて奈良県に入る。ここで紀ノ川は吉野川と名前を変える。

 第12湯目は五條市の金剛乃湯温泉「金剛乃湯」。国道24号沿いにあるので入りやすい。大浴場の湯は白濁のツルツル湯。湯船は槇の木。庭園風の露天風呂には気持ちよく入れる。ここは1300メートルまで掘った大深度温泉。湯から上がるとカレーライス(500円)を食べた。金剛乃湯のほぼ真北には名峰、金剛山(1125m)がそびえている。

 和歌山から勢和多気ICまでの紀伊半島横断ルートは次々にルートナンバーが変わっていく。和歌山から五條までは国道24号だが、「五條→下市(下市町)」は国道370号、「下市→宮滝(吉野町)」は国道169号と国道370号の重複区間、「宮滝→窪垣内(吉野町)」は国道370号、窪垣内からは県道16号。東吉野村に入ると国道166号に出る。

 山深い東吉野村の県道16号沿いには、「ニホンオオカミ像」が建っている。V−ストローム1000を止めると、ニホンオオカミの等身大のブロンズ像に見入ってしまう。明治38年(1905年)、この地で捕獲された日本最後のニホンオオカミの像だといわれている。実物の標本は大英博物館に展示されているという。

 伊勢街道(参宮街道)の国道166号に出ると右折し、奈良・三重県境の高見峠に向かっていく。峠の手前を左折し、第13湯目のたかすみ温泉「たかすみの里」(入浴料500円)の湯に入った。大浴場は木の湯船。槇風呂だ。木の感触がすごくいい。さすが日本有数の林業地帯、東吉野村だけのことはある。女湯は檜風呂だとのことで、一週間ごとに男湯と女湯は入れ替わる。

 国道166号に戻ると、台高山脈の高見峠を越える。峠の北には高見山(1248m)が聳え、峠の南には大台ケ原の山並みが連なっている。

 高見峠を下り、第14湯目の奥香肌峡温泉「かはだの湯」に入る。大浴場は濁り湯、露天風呂は無色透明の湯。大浴場の湯につかりながら、車が大好きだという人と「湯の中談義」。「北海道一周6000キロ」を走って、各地の温泉をめぐったという。車大好きの人は温泉も大好きな人だった。

 第15湯目は国道166号の道の駅「飯高駅」にある香肌峡温泉「いいたかの湯」。大浴場には11種類もの湯船がある。それらの湯船にひとつづつ入り、最後に露天風呂の湯につかった。湯から上がるとレストランで「冷やしうどん」(430円)を食べた。

高見峠の三重県側の山岳風景高見峠の三重県側のループ橋奥香肌峡温泉「かはだの湯」

高見峠の三重県側の山岳風景 高見峠の三重県側のループ橋 奥香肌峡温泉「かはだの湯」

奥香肌峡温泉「かはだの湯」の露天風呂香肌峡温泉「いいたかの湯」香肌峡温泉「いいたかの湯」の「冷やしうどん」

奥香肌峡温泉「かはだの湯」の露天風呂 香肌峡温泉「いいたかの湯」 香肌峡温泉「いいたかの湯」の「冷やしうどん」

足の痛みに堪てのナイトラン

紀勢自動車道の勢和多気ICに戻ってきた。「紀伊半島一周」、終了!

紀勢自動車道の勢和多気ICに戻ってきた。「紀伊半島一周」、終了!

 ここからはナイトラン。国道166号から国道368号に入り、桜峠を越えた。最後に国道42号を走り、18時45分、紀勢自動車道の勢和多気ICに到着。「勢和多気IC→勢和多気IC」の「紀伊半島一周」は551キロになった。さすが日本一の大半島だけのことはある。

 左足の痛みはさらにひどくなり、我慢できるほどではなかった。何が原因でこうなったのか、よくわからない。原因はともかく、とてもではないが、大阪を出発点にして「中国一周」をやろうという気にはなれなかった。

 残念…。勢和多気ICから帰ることにした。

 気持ちを切り替え、伊勢自動車道→東名阪道→伊勢湾岸道→新東名→東名と高速道を走り継ぎ、24時30分、神奈川県伊勢原市の自宅に戻ってきた。

 このVストローム1000での「中国一周」の断念が、「ジクサー150での分割日本一周」の「中国編」につながっていく。

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