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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ジクサー150分割日本一周[25]

投稿日:2020年6月19日

中国一周編 15(2017年3月4日)

周防の一宮「玉祖神社」

防府八幡宮の梅林

防府八幡宮の梅林

周防の一宮、玉祖神社にやってきた

周防の一宮、玉祖神社にやってきた

玉祖神社の神門

玉祖神社の神門

玉祖神社の拝殿

玉祖神社の拝殿

玉祖神社を参拝

玉祖神社を参拝

玉祖神社の本殿

玉祖神社の本殿

玉祖神社の「黒柏発祥之地」碑

玉祖神社の「黒柏発祥之地」碑

玉祖神社の裏に広がる森

玉祖神社の裏に広がる森

 梅まつりでにぎわう防府天満宮を後にし、佐波川を渡ったところにある玉祖(たまのおや)神社に行く。ここが周防の一宮。防府天満宮は有名だが、玉祖神社はあまり知られていない。高速の山陽道と国道2号の防府バイパスのすぐ脇にある。祭神は瓊瓊杵(ににぎ)尊に供した5神の1人の玉祖命だ。

 玉祖命は三種の神器のひとつ、八坂瓊曲玉(やさかのまがたま)を造った神で、この地で亡くなった。神社の北方500メートルのところに玉の岩屋があるが、ここが玉祖命の墓所だといい伝えられている。

 玉祖命は玉作氏の祖先神になっているので、カメラや眼鏡、時計、レンズ、宝石を生業とする人たちは、玉祖神社を総本宮として崇めている。毎年4月10日(今は4月の第2日曜)に「玉の祭」がおこなわれる。祭には日本各地から多くの業者もやってくる。

 玉祖神社の境内には「日本鶏 黒柏発祥之地」碑が建っている。天岩戸開きのときに鳴かした長鳴鶏が「黒柏」だが、玉祖命は黒柏を連れてこの地にやってきたという。黒柏は今でも境内で飼育され、長鳴きの声を聞かせてくれる。天照大神が天岩戸を開いたときに聞いた鶏の声だ。

 玉祖神社には「黒柏鶏」の案内板が立っている。

 それには次のように書かれている。

 黒柏鶏は長鳴鶏に属する日本古来の鶏で、鳴き声は7、8秒から長いものでは10秒に達するときもあります。黒柏の名前が示すとおり羽毛は全身黒で、脛やくちばし、足、爪も暗鉛色です。雄の耳朶や鶏冠は赤いですが、黒が混じることもあります。雌の鶏冠はほとんど黒くなります。中略。明治以降、多くの日本鶏が姿を消した中で黒柏鶏の存在は貴重であるといえます。山口県・島根県で地域を定めない形で指定されており、防府では玉祖神社をはじめとして市内数か所で飼育されています

 とあるが、この黒柏鶏は、国指定の天然記念物になっている。

 玉祖神社の裏手は照葉樹の自然林になっている。スタジイやタブノキ、モチキ、クロキの高木、イヌビワやアカシの低木と、この地方の元々の自然林の姿が見られるのだ。これが一宮の魅力。一宮はどこも自然の宝庫なのだ。

 玉祖神社の参拝を終えると、国道2号で下関に向かう。小郡(山口市)を通り過ぎ、宇部市に入ったところが周防と長門の国境。山口県では周防の方が長門よりも広い。山口=長州ではないのだ。鹿児島=薩摩でないのと似ている。

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