ジクサー150分割日本一周[25]
投稿日:2020年6月19日
周防の一宮「玉祖神社」
梅まつりでにぎわう防府天満宮を後にし、佐波川を渡ったところにある玉祖(たまのおや)神社に行く。ここが周防の一宮。防府天満宮は有名だが、玉祖神社はあまり知られていない。高速の山陽道と国道2号の防府バイパスのすぐ脇にある。祭神は瓊瓊杵(ににぎ)尊に供した5神の1人の玉祖命だ。
玉祖命は三種の神器のひとつ、八坂瓊曲玉(やさかのまがたま)を造った神で、この地で亡くなった。神社の北方500メートルのところに玉の岩屋があるが、ここが玉祖命の墓所だといい伝えられている。
玉祖命は玉作氏の祖先神になっているので、カメラや眼鏡、時計、レンズ、宝石を生業とする人たちは、玉祖神社を総本宮として崇めている。毎年4月10日(今は4月の第2日曜)に「玉の祭」がおこなわれる。祭には日本各地から多くの業者もやってくる。
玉祖神社の境内には「日本鶏 黒柏発祥之地」碑が建っている。天岩戸開きのときに鳴かした長鳴鶏が「黒柏」だが、玉祖命は黒柏を連れてこの地にやってきたという。黒柏は今でも境内で飼育され、長鳴きの声を聞かせてくれる。天照大神が天岩戸を開いたときに聞いた鶏の声だ。
玉祖神社には「黒柏鶏」の案内板が立っている。
それには次のように書かれている。
とあるが、この黒柏鶏は、国指定の天然記念物になっている。
玉祖神社の裏手は照葉樹の自然林になっている。スタジイやタブノキ、モチキ、クロキの高木、イヌビワやアカシの低木と、この地方の元々の自然林の姿が見られるのだ。これが一宮の魅力。一宮はどこも自然の宝庫なのだ。
玉祖神社の参拝を終えると、国道2号で下関に向かう。小郡(山口市)を通り過ぎ、宇部市に入ったところが周防と長門の国境。山口県では周防の方が長門よりも広い。山口=長州ではないのだ。鹿児島=薩摩でないのと似ている。