ジクサー150分割日本一周[86]
投稿日:2020年9月8日
阿蘇神社の強さ
阿蘇の国道57号沿いの食事処「山賊旅路」を出発。阿蘇神社の入口、JR豊肥本線の宮地駅でジクサー150を止める。駅舎内のカフェでコーヒーを飲んだ。
宮地駅から国道57号の阿蘇外輪山の峠、滝室坂に向かって行く。急カーブが連続する滝室坂を登り、峠を越えたが、ここでおもしろいことに気がついた。
一般的な例でいうと、この峠が肥後と豊後の豊肥国境になっておかしくない。ところが峠道を下っても、なかなか大分県には入らない。10キロ近くを走ってやっと大分県に入った。
これは一体、何を意味するのだろうか…。
肥後・豊後の国境線は相当に古いと思われる。肥後は「火国(ひのくに)」が肥前、肥後に分かれてできた国だが、おそらく2国に分国する以前からの国境線であろう。
九州を二分する分水嶺が国境線にならないで、それをはるかに越えたラインが国境線になっているのは、火国の強さを物語っている。その火国の象徴が阿蘇山であり、阿蘇山を御神体にしている阿蘇神社なのだ。阿蘇神社の強さということになるのか。
今の熊本県は「一国一県」。肥後国の全部が熊本県になっている。熊本県のまとまりの良さ、熊本県民の結びつきの強さは、ここから来ているとぼくは思っている。
このような一国一県の例はそれほど多くはない。最強の一国一県だと思われていた長野県は一部が岐阜県になり、今では信濃国=長野県ではなくなっている。
話はそれたが、国道57号で大分県に入るとそこは竹田市。後を振り返ってみても、もう阿蘇山は見えない。
竹田の町には「荒城の月」で知られる岡城址がある。見事な石垣が残り、往時の面影を偲ばせている。石垣の上に立つと、祖母傾の山並みや九重連山が見渡せる。
竹田の町並みを走り抜け、国道502号経由で原尻の滝へ。
緒方川にかかる幅120メートル、高さ20メートルの大滝は、「東洋のナイアガラ」とも称される。滝の上をジクサー150で走っていけるのがすごくいい。
突き当りにはこんもりとした森に囲まれた二の宮社がある。
原尻の滝の起源は、9万年前の阿蘇山の大噴火。この大噴火で発生した大火砕流は、この地にも、何十メートルもの厚さで積もった。それが徐々に冷え固まり、阿蘇溶結凝灰岩と呼ばれる岩石になる時、縦方向の割れ目(柱状節理)が同時にできた。柱を束ねたような状態で立っている大地に川の水が流れ込み、次々に柱を押し倒し、原尻の滝がつくられたのだという。
阿蘇山があっての原尻の滝。ここでも阿蘇山の持つすさまじい力を見せつけられた。