カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

ジクサー150分割日本一周[160]

投稿日:2021年4月3日

東北一周編 46(2017年7月24日)

ここは、本州の袋小路だ

国道339号で龍飛崎へ

国道339号で龍飛崎へ

 津軽半島最北端の龍飛崎に到着。

 龍飛崎の入口には太宰治の文学碑が建っている。それには次のような『津軽』の一文が彫り刻まれている。

ここは、本州の袋小路だ。讀者も銘記せよ。諸君が北に向かって歩いてゐる時、その路をどこまでも、さかのぼり、さかのぼり行けば、必ずこの外ヶ濵街道に到り、路がいよいよ狭くなり、さらにさかのぼれば、すっぽりとこの鶏小屋に似た不思議な世界に落ち込み、そこに於いて諸君の路は全く盡きるのである。

 ぼくが初めて龍飛崎に来たのは1978年。「30代編日本一周」の時だった。

 そのときの龍飛崎はまさに太宰治のいう通りの袋小路。龍飛崎からは、来た道を戻るしかなかった。国道339号が全線開通し、日本海側の小泊に抜けられるようになったのは、その後の1984年のことである。

 龍飛崎の龍飛漁港から、地つづきの帯島に渡ってみる。「義経北行伝説」の伝わる小島で、弁天がまつられている。その先は、大岩が手を広げるような形をして立ちふさいでいる。帯島は龍飛漁港の天然の大防波堤になっている。

国道沿いの漁村の舟屋龍飛崎に到着龍飛崎の太宰治の文学碑

国道沿いの漁村の舟屋 龍飛崎に到着 龍飛崎の太宰治の文学碑

太宰治の紹介太宰治の『津軽』龍飛崎の龍飛漁港。地つづきの帯島が見える

太宰治の紹介 太宰治の『津軽』 龍飛崎の龍飛漁港。地つづきの帯島が見える

 国道339号といえば、日本で唯一の階段国道でよく知られている。ジクサー150を止めて、階段国道を歩いて登った。

 高台上には、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」歌碑が建っている。

  ごらんあれが 竜飛岬
  北のはずれと
  見知らぬ人が 指をさす
  息でくもる 窓のガラス
  ふいてみたけど
  はるかにかすみ 見えるだけ
  ………

 と彫り刻まれた歌碑の前に立ち、赤いボタンを押すと、石川さゆりの歌が流れてくる。

 階段国道を登り降りして往復すると、今度はジクサー150を走らせ、自動車道で高台上の龍飛崎へ。駐車場にジクサー150を止めると、龍飛崎の突端へ。強い風に吹かれながら歩く。この一帯は海からの風が吹きつけるので、周囲の丘陵地帯には風力発電の風車が何基も見られる。白い灯台の前を通り、岬突端に立ち、海上自衛隊のレーダー基地を見る。レーダー基地越しの北海道を見る。龍飛崎から北海道最南端の白神岬までは19,5キロでしかない。

 戦前まで、ここには旧日本海軍の望楼(2007年に撤去)があった。明治以前の文化5年(1808年)、弘前藩はこの地に台場を築き、狼煙台と砲台を設置した。龍飛崎は昔も今も、日本の北方警備の要衝の地になっている。

龍飛崎の階段国道を歩いて登るここが階段国道の終点龍飛漁港を見下ろす

龍飛崎の階段国道を歩いて登る ここが階段国道の終点 龍飛漁港を見下ろす

石川さゆりの「津軽海峡冬景色」歌碑龍飛崎からの眺め龍飛崎の灯台

石川さゆりの「津軽海峡冬景色」歌碑 龍飛崎からの眺め 龍飛崎の灯台

龍飛崎の展望台龍飛崎のレーダー基地龍飛崎の案内図

龍飛崎の展望台 龍飛崎のレーダー基地 龍飛崎の案内図

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