ジクサー150分割日本一周[213]
投稿日:2021年6月6日
「風極の地 襟裳岬」
様似を出発。国道336号でえりも町に入る。えりも町の中心地を過ぎたところで国道336号と分岐し、海沿いの道道34号で襟裳岬に向かっていく。
襟裳岬といえば「風の岬」でよく知られているが、岬に着く前から猛烈な風が吹いている。ジクサー150が吹き飛ばされるのではないかと、心配になるほどの風の強さ。。
襟裳岬周辺の台地上に樹木は見られない。まるで敷つめられたかのような笹が地面を這い、笹原の中を一筋のアスファルト道路が岬へと延びている。
もともとこのあたりはカシワやミズナラの茂る樹林地帯だったということだが、長年の伐採で荒野に変り、強風に舞って砂が飛ぶようになったという。近年は盛んに「飛砂防止保安林」の植林がおこなわれている。
襟裳岬に到着。広い駐車場には1台の車も見られない。岬の売店も店を閉じている。あまりの風の強さに、売店を衝立にするようにしてジクサー150を止めた。それほどの風の強さだ。
襟裳岬の「エリモ」は、岬を意味するアイヌ語の「エンルム」に由来する。室蘭の絵柄岬の「エトモ」も「エンルム」に由来する。襟裳岬も絵柄岬も、岬の同義語を重ねたもので「岬岬」になる。様似漁港の岬もエンムル岬だった。
函館から立待岬、恵山岬、絵柄岬、地球岬、イタンキ岬、そして襟裳岬と岬をめぐってきたが、これらの岬名はすべてアイヌ語に由来する。岬名のみならず北海道の地名の多くはアイヌ語に由来するが、「アイヌ語地名」は北海道遺産になっている。
猛烈な風に吹かれながら、襟裳岬の遊歩道を歩く。灯台の前を通り、岬突端の展望台に立った。そこからさらに沖合いまで、岩礁が点々とつづいている。その風景はまさに、「日高山脈、ここに尽きる!」というようなものだ。
北太平洋の荒波が岩礁にぶつかり、白い波が砕け散っている。この沖合いの岩礁地帯はゼニガタアザラシの生息地で、11月から4月にかけて見られるという。
襟裳岬では風速15メートル以上の日が年間200日を超え、風速30メートル、40メートルの日も珍しくないという。襟裳岬は日本でも一、二の「風の岬」。強風を体験できる「風の館」の石垣には、「風極の地 襟裳岬」の石碑がはめ込まれている。